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2013年8月11日(日)

同胞団内に“改革”運動

モルシ解任は国民の意思 指導部は辞任を

エジプト

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 エジプト軍によるモルシ大統領解任(7月3日)に抗議するイスラム主義組織・ムスリム同胞団のデモは現在も収まらず、同国情勢は混乱をつづけています。そんな中、同胞団内部で青年団員らが指導部の辞任を求めて“改革”運動を行っていることが話題となっています。

 (カイロ=小泉大介)


写真

(写真)アフメド・ヤヒア氏(小泉大介撮影)

 「モルシ大統領解任は同胞団指導部がいうようなクーデターではなく、国民の意思と運動の結果です。指導部は直ちに(モルシ氏解任に抗議する)座り込みを中止し、これまでの誤りを国民に謝罪すべきです。そして本来の同胞団の目標を実現すべく今後の政治プロセスに参加すべきです」

 こうきっぱり語ったのは、このほど「暴力なきムスリム同胞団」という名の組織改革運動を開始した男性、アフメド・ヤヒア氏(30)です。弁護士で、現在は同運動の推進に専念しています。

 ヤヒア氏が同胞団員の仲間約10人と運動を開始したのは、モルシ氏が7月2日の演説で、数百万の国民が6月30日のデモで示した辞任要求を何の妥協策も示さず拒否したことがきっかけでした。

 その後、同胞団の最高指導者であるバディア氏の辞任を求める署名活動を開始。現在、約4000人の青年の中心活動家のうち、2700人以上の賛同を得たといいます。

自らの利益を追求するだけ

 モルシ氏が大統領に就任した1年前には「2期8年は安泰だと思っていた」というヤヒア氏ですが、司法をも超越する権力を大統領に集中する宣言を行ったり、選挙で約束した経済と治安の改善がまったくなされないままの事態に深く失望。「モルシ氏は同胞団指導部の利益を追求していたにすぎなかった」との結論に至ります。

 その同胞団指導部についてヤヒア氏は現在、「排他的、暴力的であり、イスラムを自らの政治的利益実現に利用しているにすぎない」と断言します。特に暴力に関しては、同氏自身、モルシ氏解任後、指導部が青年メンバーに対し治安部隊を攻撃するよう指示しているところを目撃しました。「抗議の座り込みにしても、道路を封鎖し勝手に通りにテントやトイレを設置したり、さらには武器を持ち込んだりと、周辺住民の生活を極度に脅かしているのです」(ヤヒア氏)

「寛容、公正」理念実現こそ

 ヤヒア氏が同胞団に入団したのはカイロ大学在学中の2005年でした。当時、パレスチナを占領するイスラエルを最も真剣に批判していると感じたからで、その教えも「寛容、公正、穏健、非暴力」に基づくものだと確信したからでした。

 同氏はいいます。

 「私たちはいま団員としての活動を一時停止していますが、組織を離れたわけではありません。現在の指導部が辞任すれば直ちに活動に復帰して、同胞団のそもそもの理念を実現するために努力するつもりです。イスラム主義そのものと、自らの利益のためにそれを利用する人々とを区別することが重要なのです」


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