2013年8月11日(日)
主張
「ブラック企業」一掃
長時間労働の規制を強めよう
過酷な労働環境で働かせる「ブラック企業」の一掃が重要な政治課題になっています。「労働時間が長すぎる」「サービス残業をやめてほしい」と若者たちが切実に訴えている長時間労働の規制強化がどうしても必要です。
ところが政府と財界は、裁量労働制の拡大や、労働時間規制の適用除外制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入で、残業代を払わない長時間ただ働きの国づくりをめざしています。働くものの叫びに背を向けた動きを阻止するためにも、「長時間労働なくせ」「ブラック企業なくせ」の声を広げる運動が重要です。
人間は消耗品ではない
「365日24時間死ぬまで働け」。これは「ワタミ」の企業理念です。ここに入社した26歳の女性社員が月140時間を超える残業で疲れ果て、自ら命を断つ悲しい出来事がおこりました。人間を死ぬまで働かせる消耗品扱いは絶対に変えなければなりません。
厚生労働省が6月、2012年度の労災認定件数を発表しました。仕事のストレスなどによる精神疾患で労災認定された人は475人(うち自殺が93人)で、前年度より46%増え、過去最多を更新するという深刻さです。認定された人の残業時間を見ると、月100時間以上〜120時間未満の人が66人(17人)です。120時間以上〜140時間未満が46人(15人)です。160時間以上の人も46人(14人)でした。残業が月80時間以上の人が前年度より29人増えています。29歳以下の若者の自殺者が21人もいたのは悲惨です。
厚労省は、残業が月45時間を超えるにしたがって「過労死」との関連性が強まり、80時間を超えると強いと判断する認定基準を出しています。これがまともに守られていないのが現状です。
「過労死」するような長時間労働と「サービス残業」が横行する根本に、労働基準法の欠陥があります。まず残業の上限規制がなく、労使協定(条文が36条なので「三六協定」という)を結べば企業のいいなりの長時間残業を命じることができます。さらに企業に労働時間の把握・管理を義務づける明文規定がありません。このため残業の目標を労働者に「自主申告」させ、それを超えた残業は「サービス残業」にするやり方がまん延してきました。
これにたいして、人間らしい働き方を実現しようとたたかい、成果を勝ち取っていることも重要です。旧労働省が1998年に、それまで青天井だった「三六協定」による延長時間の基準について「週15時間、月45時間、年360時間」とする告示を出しました。これを守らせ、法定化させる運動が重要です。「サービス残業」根絶でも労基法の欠陥だった、企業の労働時間管理責任を明確にした通達を2001年に出させました。これをさらに実効あるものにしていくたたかいが重要です。
国連も懸念を表明
国連の社会権規約委員会が5月に、日本で「過労死」やハラスメントによる自殺が起こっていることに懸念を表明し、長時間労働を防止する措置を講じるよう勧告を出しました。政府に求められているのは、長時間労働をさらに助長する労働時間の規制緩和をただちに中止し、安心して働ける労働時間ルールをつくることです。