2013年8月5日(月)
きょうの潮流
飼い猫がニャー、ニャーと鳴きながら家に戻ってきました。いやに鳴くなと思えば、案の定、口にセミの幼虫をくわえていました▼猫の頭をなでながら、くわえていた幼虫を奪うと、まだ生きています。近くの木に戻しました。猫がセミを捕まえてきたのは今年これで3度目。2度はアブラゼミの成虫のオスで、うるさいことといったらありません。捕まったセミも哀れです▼セミの最盛期。子どものころは、ハエ取り紙に塗られた粘着性の物質を棒の先につけて、セミ捕りをしました。大きなクマゼミがなかなか捕れず、捕った時に棒の先から伝わってきた振動に感動したことがあります▼写真家の今森光彦さんは毎夏、雑木林という身近な森を理解してもらおうと昆虫教室を開いています。昆虫採集などをアドバイスするそうです。その今森さんが雑誌で興味深い話をしていました。「昆虫に関する知識はすごくある子どもでも、おしなべて『環境』がわからない」(『野鳥』)▼雑木林の樹液に集まるカブトムシを例に説明しています。「人が木を伐採して管理して、虫や鳥も草木も農産物も育まれる。この循環で雑木林全体があるのに、それが理解できない」と。それをどう伝えるか▼今森さんは、教えすぎず、しゃべりすぎず、子どもたちを野に放つといいます。五感で感じてほしいからだと力説します。「自然は感じる世界、五感の世界ですよね」と。五感で感じる環境を守るために、おとなが取り組めることはたくさんありそうです。