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2013年8月4日(日)

きょうの潮流

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 飛行機といえばアメリカのライト兄弟が有名です。いまから110年前、世界で初めて動力による有人飛行に成功したといわれています。しかし、その12年も前に画期的な実験に成功した日本人がいました▼愛媛の八幡浜で凧(たこ)づくり名人として通っていた二宮忠八(ちゅうはち)です。空を飛ぶものに強い関心があった忠八。カラスやトビウオを観察するなかで、固定した翼に推進力をつければ空を飛べるのでは、とひらめきます▼竹とんぼをプロペラに、聴診器のゴム管を動力にしたカラス型の模型機をつくり、36メートルの飛行に成功。有人機の開発にも取りかかりました。もし、忠八への理解と資金援助があったら、航空史をぬりかえていたかもしれません(『ものがたり 日本の航空技術』)▼日本人が初めて空を飛んだのは1910年。研究も盛んになり、航空機メーカーが次々と創業します。しかしそれは、戦争への歩みと足をそろえていました。世界の航空技術は性能や戦闘能力の向上を競っていくのです▼映画「風立ちぬ」の主人公、堀越二郎もそんな時代を生きました。美しい飛行機をつくりたいと夢見る少年。やがて軍需産業の設計者として零戦づくりに結実しますが、映画は敗戦後、飛行機の残骸の山に立ち尽くす堀越の姿を描きます▼「飛行機は戦争の道具ではない。美しい夢だ」。映画を通した宮崎駿(はやお)監督のメッセージ。人類の夢をのせて、ものづくりの力を結集してきた飛行機。人殺しの役目を背負ってきた悲しい時代に、もう別れを告げたい。


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