2013年8月3日(土)
日本共産党国会議員団総会での
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が2日の党国会議員団総会でおこなったあいさつは次のとおりです。
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臨時国会の開会にあたって、ごあいさつを申し上げます。
仲間がこうしてにぎやかに増えて、議員団総会を迎えるのは、じつに1998年の参議院選挙以来の15年ぶりのことであります(拍手)。感無量であります(拍手)。小池晃さん、仁比聡平さんの国会議員団への復帰、吉良よし子さん、辰巳孝太郎さん、倉林明子さんが、議員団の新しい一員になったことを、心から歓迎したいと思います。(拍手)
麻生暴言問題――国政に参加する資格なし、問題点の徹底的な究明を
まず、麻生副総理の暴言問題について、のべておきます。麻生氏が、どういう言い訳をしようと、ヒトラーがナチス独裁政権を樹立し、ワイマール憲法を機能停止させたことについて、「あの手口を学んだらどうかね」とのべたことは、ナチズムを肯定し、民主主義を否定する許し難い暴言というほかありません。
第2次世界大戦後の国際秩序というのは、日本とドイツとイタリアのファシズムと侵略戦争の断罪――この誤りを二度と繰り返してはならないという土台の上に築かれています。この土台を否定するものは、国際政治に参加する資格も、日本の政治に参加する資格もありません。わが党は、麻生氏が閣僚を辞職し、議員を辞職することは、当然だと考えるものであります。
この問題については、国会での追及が必要です。衆参での予算委員会での集中審議の開催を含め、問題点の徹底的な究明をおこなう必要があります。こうした問題の起こる土壌に、安倍内閣自身の歴史逆行の姿勢があるということを含めて、問題点の究明が必要であることを、表明しておきたいと思います。(拍手)
安倍自公政権の暴走と正面から対決する――抜本的対案を示して
私は、躍進した国会議員団が、国民の期待にこたえて、つぎの三つの役割を果たそうということを、のべたいと思います。
第一は、安倍自公政権の暴走と正面から対決する役割であります。
私たちは、今度の参議院選挙を、「自民党と対決し、抜本的対案を示す」ということを掲げて躍進を勝ち取ったわけでありますが、その真価がただちに問われてきます。今年の後半を考えてみましても、安倍政権による反動的暴走が、あらゆる分野で計画され、実行に移されようとしています。
消費税の大増税問題について、この秋に、来年からの税率引き上げがいよいよ具体化されようとしています。
社会保障の問題では、生活保護の引き下げと、法改悪が再提出されることがたくらまれ、それを突破口に、医療、介護、年金と、あらゆる分野での社会保障の切り捨てがくわだてられ、実行にうつされようとしています。
原発の問題では、放射能汚染水が海に漏れ出すという非常事態が起こっておりますが、そのもとでの原発再稼働への暴走が始まっています。
TPPの問題では、日本政府がTPP交渉に本格的に参加するもとで、この問題でもたたかいが重大なヤマ場をむかえています。
憲法の問題では、改憲派のたくらみとして、まずは、集団的自衛権の行使をできるように政府解釈の変更――解釈改憲をおこない、それと一体に立法措置をおこなうというところから、手をつけようとしています。
米軍基地の問題では、普天間基地の「辺野古移設」のための埋め立て申請、オスプレイ配備の倍加など、県民の総意を無視した暴挙がすすめられようとしています。
ざっと見ただけでも、これだけの“暴走リスト”がならぶわけですけれども、私が強調したいのは、これらのどれ一つをとっても、それを強行した場合に、日本の政治の激動的危機が引き起こされることは避けられないということです。どの問題もそういう非常に深刻な問題だということです。
たとえば消費税大増税についても、こんな不景気のもとで増税を強行したらどうなるかということについては、さすがに政府部内でも、このまま来年引き上げたら、日本経済に大きな打撃を与え、いますすめている彼らの「アベノミクス」なるものもうまくいかなくなる、実施を延期すべきだという意見が出され、意見の対立が生まれるぐらい、非常に深刻な危機をはらむ問題であります。
こうした安倍政権の暴走に対して、どの問題でも、真正面から対決できる党は日本共産党しかありません。
私たちは、対決と言う場合、あらゆる問題で抜本的対案をかかげて対決するという姿勢を貫きたいと思います。言葉を換えて言いますと、抜本的対案を持つ党だからこそ対決できるのであります。たとえば、「アベノミクス」にたいしても、「大企業の内部留保を活用して賃上げを」という対案を持つ党だからこそ、正面から対決することができます。消費税大増税の問題にたいしても、「消費税に頼らない別の道」があるという対案を持つ党だからこそ、キッパリ対決することができます。
多くの国民のみなさんが、日本共産党に1票を投じてくださった最大の思いは、「いまの政治が心配だ」、「安倍政権の暴走が心配だ」、「共産党よ止めてくれ」というところにあると思います。その期待に応えて大奮闘をやろうではないかということを、呼びかけたいと思います。(拍手)
国民の世論と運動の発展に貢献する――大義と展望を明らかにする論戦を
第二は、国民の世論と運動の発展に貢献するという役割です。
巨大与党の暴走をどうやって止めるのか。私は、国民多数の世論と運動で包囲する、これこそ大道だということを強調したいと思います。この大道に徹する、そしてそれに貢献する国会活動にとりくむ、ここが議員団の姿勢としても大事だと考えています。
さきほど安倍政権の“暴走リスト”についてのべましたが、ここには二つの特徴があります。
一つは、どれも国民多数の声に逆らうものだということであります。今度の選挙結果をとらえて、メディアは「『ねじれ』が解消された」ということをいいますが、国民多数の声との「ねじれ」はまったく解消されていないというのが実情です。消費税増税、原発再稼働、憲法9条改定に対しては、どんな世論調査でも、国民の5割から6割は反対の声をあげています。TPPについては、「オール北海道」で反対の声が沸き起こっている。普天間基地の「辺野古移設」については、「オール沖縄」で反対の声が沸き起こっている。どの問題をとっても、国民の多数の声に逆らうことをやろうとしているわけで、こんなことが民主主義の国で許されるのかという立場で、大いに論陣を張っていきたいと思います。
いま一つは、この“暴走リスト”のどれ一つをとっても国民の信任を得ていないということを強調しておきたい。安倍首相が参議院選挙で語ったのは、もっぱら「アベノミクス」の自慢話ばかりでした。消費税増税の問題も、原発の問題も、TPPの問題も、憲法の問題も、基地の問題も、すべてを語らず、隠したまま選挙をやり過ごしたというのが実情だったと思います。国民は安倍政権に白紙委任を与えたわけでは決してないということを強調しておきたいと思います。(「そうだ」「よし」の声、拍手)
そういう状況の下で、国民多数の世論と運動で、安倍政権の暴走を包囲し、孤立させる、ここに最大の力を注ごうではないか、国会議員団が、それに貢献する論戦と活動をすすめようではないか、ということを呼びかけたいと思います。
国民運動の発展ということを考えますと、二つ大事な点があります。一つは、たたかっている国民のみなさんが、自らのたたかいに大義があるということを確信するということ――大義への確信です。もう一つは、それぞれのたたかいにおいて、どういう方向に日本の政治を変えていったらいいのかを確信をもってつかむ――展望への確信です。大義と展望の両面が大切です。私たち国会議員団が、国民運動の大義を明らかにし、展望を指し示す論戦に大いにとりくもうではありませんか。(拍手)
国民の願いに即して政治を前に動かす――躍進した力を存分に生かして
第三は、国民の願いに即して、政治を一歩でも二歩でも前に動かす役割を果たしていきたいと思います。
そのために、衆議院の8人と躍進した参議院の11人が、一体になって、知恵と力をつくして奮闘したいと思います。
そのさい、参議院での11人への躍進というのは、ほんとうにたいへんな成果で、活動の舞台を広げる大きな力となっており、この力を存分に生かした奮闘をすすめることを、強調したいと思います。
11のすべての常任委員会に委員を配置し、予算委員会と決算委員会と憲法審査会には各2人の委員を出せることになりました。これまでは、参議院で、五つの常任委員会は、わが党の委員は不在でありました。あまり宣伝はしていませんが(笑い)、不在の委員会は、外交防衛委員会、経済産業委員会、国土交通委員会、内閣委員会、文教科学委員会――これだけの重要な委員会が不在だったわけです。そこを衆議院と協力しておぎないながら、国会活動をおこなってきたわけですけれども、この五つも含めて、すべての常任委員会に委員を配置し、発言権を確保したことの意義はきわめて大きなものがあります。
それぞれの委員会で、悪政の追及とともに、国民要求に即して国政を一歩でも二歩でも前に動かす奮闘を大いにおこなおうではありませんか。(拍手)
さらに、「院内交渉団体」となり、議院運営委員会に理事を出し、国会運営への発言権も格段に高まりました。これも、これまで本会議で質問ができたのは、通常国会の施政方針演説と決算にたいする質問、内閣がかわった場合の臨時国会での質問だけであり、他の場合は質問が封殺されていました。今後は、臨時国会での代表質問も含む代表質問、重要法案での本会議質問の権利を得ることになりました。そういう点でも格段に活動の舞台が広がったということがいえると思います。
さらに、議案提案権を得ることになったわけですが、これは、よく研究して、効果的に活用したいと考えています。議案提案権を行使するからには、ぜひそれを実らせる方向で努力をはかっていくという立場が大切であります。
これまでの経験で今後に参考になると思うのは、「サービス残業根絶法案」です。日本共産党が、この法案を議員立法で提案したのは2000年3月のことでした。この法案そのものは実らなかったわけですが、法案を提起した翌年の4月――2001年4月に厚労省が「4・6通達」というものを出しました。この「4・6通達」というのは、日本共産党が提起した「サービス残業根絶法案」の内容をほとんどそのまま盛り込むという内容のものとなったわけです。その結果、その後の11年間で1932億円の不払い残業代を払わせるという成果への道を開きました。
このときの教訓が非常に大切だと思います。わが党は、法案の提起と一体に、繰り返しの国会論戦でこの問題をとりあげ、労働の現場のたたかいとの共同をすすめました。法案提起と国会論戦と国民のたたかい――この三つが一体に結びついた時に、政治を動かす力となって働いたというのがこれまでの経験でも明らかですから、そういう教訓も生かして、議案提案権の行使の仕方をよく研究し、積極的活用をはかっていきたいと思います。
「共産党を伸ばしてよかった」「今度は共産党に」と思っていただける奮闘を
三つの役割ということを申しましたが、今度の選挙で日本共産党に支持を寄せてくださった515万人の方々に、「共産党を伸ばしてよかった」と思っていただける奮闘を、ぜひ、みんなの力でやっていこうではありませんか。
そして、今度の参議院選挙の結果を受けて、日本共産党への新たな期待や関心を寄せてくださっている幾百万の方々に、「今度は共産党に入れよう」と思っていただけるような奮闘をやろうではありませんか。
「共産党を伸ばしてよかった」、「今度は共産党に」という奮闘を、新しい衆参の議員団が力をあわせてとりくむことを呼びかけ、私もその先頭にたって頑張りぬく決意を申し上げて、ごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)