2013年8月2日(金)
麻生氏の過去の発言 ナチズムと酷似
「一国家、一文明、一言語、一文化、一民族…ほかの国にはない」
誰にも気付かれないうちに“改憲”したナチスの「手口」に学べという麻生太郎副総理兼財務相の暴言(7月29日)が内外から批判を浴びています。同氏は「発言を撤回したい」と言い出したものの、過去の発言には、ナチズムと共通する思考が表れています。
「(日本は)一国家、一文明、一言語、一文化、一民族、ほかの国さがしてもございません」。2005年10月15日、福岡県太宰府市で行われた九州国立博物館開館記念式典での麻生氏(当時=総務相)の祝辞です。
麻生発言で想起させられるのが、「一つの民族、一つの帝国、一人の総統」というナチスの有名なスローガンです。「純粋なアーリア人国家」の建設を目指したヒトラーは自著の『わが闘争』で「同一の血を持つ民族は共通の国家に属する」と強調。アーリア人優位主義や排外主義のもと、ホロコースト(ユダヤ人などの民族大量虐殺)を進めたほか、「精神病」(認知症)患者や障害者に対する「断種」や「安楽死」まで強行しました。
麻生氏は2007年の参院選中、国内外の米価を比較して「7万8000円と1万6000円はどちらが高いか。アルツハイマーの人でもわかる」と発言。また、かつての自民党の実力者について「部落出身者を日本の総理にはできない」と発言していたことも明らかにされています。弱者を切り捨て、差別を助長し、“優秀な遺伝子”だけを残すという発想も、ナチズムと酷似しています。(林信誠)