2013年8月1日(木)
アンドロメダ一望 すばる望遠鏡
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すばる望遠鏡の新しい“瞳”が開いた―。国立天文台は31日、すばる望遠鏡に搭載した新型の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」(HSC)による観測画像を初公開しました。アンドロメダ銀河のほぼ全体を一度にとらえるというこれまでできなかった観測を実現し、世界最高の性能を確認しました。来年にも本格的な科学観測を開始します。
1999年に観測を開始したすばる(口径8・2メートル)は従来、満月よりやや広い領域を一度に観測できる主焦点カメラ「シュプリーム・カム」(SC)を搭載。他の大型望遠鏡を凌(りょう)駕(が)するこの広視野を生かし、遠方銀河の発見など数々の成果をあげてきました。
後継のHSCは、約10年かけて開発。独自に開発した電荷結合素子(CCD)を116個配置し、補正光学や高精度の姿勢制御技術を駆使して、SCの7倍、満月9個分に相当する超広視野を実現しました。高さ約3メートル、重さ約3トン。8・7億画素の巨大デジタルカメラです。昨年8月すばるに搭載され性能試験を続けてきました。
アンドロメダ銀河「M31」は銀河系(天の川銀河)の隣、地球から約230万光年の距離にあります。見かけの大きさは最大級の天体で、従来の地上大型望遠鏡では全体像を視野内に収めることができませんでした。
観測チームの高田昌広・東京大学カブリIPMU教授は「HSCは、世界最強の銀河探索カメラ。かたっぱしから銀河のパノラマ写真を撮って宇宙の“国勢調査”をして、宇宙がどのように進化したのか調べたい」と話しています。