2013年7月31日(水)
きょうの潮流
沖縄を取材したときに、頭上を旋回するオスプレイを間近に見ました。ド、ド、ド、ド、ド。耳をつんざくというよりも、腹にひびく重低音。二つのプロペラが大気をふるわせていきます▼場所は沖縄戦の激戦地となった嘉数(かかず)高台公園。世界平和をねがう展望台からは米軍普天間基地が一望でき、カメラマンらが陣取ります。北から飛んできたオスプレイが、その公園の後ろを回るようにして基地に入っていきました▼墜落事故が多く、「空飛ぶ棺おけ」といわれるオスプレイ。それが「世界で最も危険な基地」に配備されているのですから、住民はたまりません。飛び回る下には住宅が密集し、学校や病院も。公園では幼児たちが遊んでいました▼基地近くのマンションに住む母親は、夜間の飛行音に子どもがおびえるといいます。口を開けば沖縄の負担軽減、県民の声を聞く、などという安倍首相。しかし、命を危険にさらしている沖縄の日常は、まったく変わっていません▼それどころか、米軍はさらに普天間基地にオスプレイ12機を追加するため、岩国基地に陸揚げしました。地元の反対や、沖縄の怒りを無視した強行です。こんなことを平気で許す日本政府は、だれのために政治をしているのか▼しかも米軍は横田基地をはじめ、全国にオスプレイを配備しようとしています。タカ科に属する大型の鳥、ミサゴを意味するオスプレイ。大空を自由に羽ばたくのはミサゴがふさわしい。オスプレイは力をあわせて米国に帰ってもらいましょう。