2013年7月30日(火)
きょうの潮流
先週の土曜日、知人に誘われ、隅田川の花火見物に出かけました。歓声から30分後、大雨で中止に。浴衣姿で走る人やシートをかぶって帰る人。36回目の大会で、中止は初めてだそうです▼各地で豪雨による被害が深刻です。山口の萩や島根の津和野では観測史上最多の大雨が降り、死者や行方不明者が出ています。土砂崩れや河川の氾濫、浸水が相次ぎ、気象庁は「直ちに命を守る行動を」と呼びかけました▼湿った暖気と上空の寒気、そこに偏西風が入り込んだ今回の大雨。局地的なゲリラ豪雨は、さまざまな気象条件や地形によって変わり、予想は難しい。そのうえ地球規模の気候変動が進んでいる現在。その時代に生きる自覚が必要なのかもしれません▼天災はいまだ人知の及ばないところですが、人災は防げます。昨年12月に中央道笹子トンネルで天井板が崩れ落ち、9人が亡くなった事故。トンネルを管理する中日本高速道路などに、遺族らが損害賠償をもとめた裁判が始まりました▼なぜ、自分たちの子どもが犠牲になったのか。原因や責任はどこにあるのか。遺族の問いかけには、同じ事故をくり返してはならない、同じ思いをさせたくない、との思いがにじんでいます▼中日本高速側は過失責任を争う構えです。しかし、天井板を支えるつり金具が1本しかなかったことをはじめ、安全対策のずさんさは本紙の調べでも判明しています。「これは事故ではなく、殺人」。人間が引き起こした事故は人間の手によって防げるはずです。