2013年7月30日(火)
参院選・糸数氏勝利 那覇市議選・共産党全員当選
沖縄県民 二つの選択
民意は新基地ノー
安倍晋三首相が選挙直前と投票日直前、「超重点区」と位置づけ、テコ入れした参院沖縄選挙区。投票日直前には一般メディアから“自民当選か”の情報も伝わりましたが、平和と革新の共同候補、糸数慶子氏が勝利しました。同時にたたかわれた那覇市議選(定数40)で、前回比25%増、3400票増を果たした日本共産党の躍進が、糸数氏勝利の大きな力になりました。
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言葉詰まる知事
「まだにわかに信じられない」―。21日夜、糸数氏当確の報に自公新人候補の選対本部長を務めた仲井真弘多(なかいまひろかず)知事は言葉に詰まりました。
知事はその前日、那覇市の繁華街で行われた選挙運動を締めくくる「打ち上げ式」で、「私どもの調査では2〜3日前から相手候補の一歩前に出た」と手応えを口にしていただけに、ショックを隠しきれない様子でした。
ある自民党県議は「われわれもいけると思っていた。米軍基地が多く、保守の弱い衆院2区で相手との差を1万5000〜1万8000票に抑えた上で、大票田の那覇を抱える1区は逆に2万票近く引き離せると踏んでいた」と明かします。
自公陣営は、那覇市での形勢逆転を狙い、市議選に公認・推薦合わせて26人の候補と、参院選挙区とのセット戦術を展開。安倍首相や石破茂幹事長ら幹部・閣僚の連日投入で攻勢をかけました。ところが、フタを開けてみると那覇市だけでも糸数氏が6700票余り水をあけていました。
県全体では糸数氏が29万4420票、自民・安里政晃氏が26万1392票の約3万3000票差。同県議は「こちらは相手陣営よりもはるかに市議候補が多かった。なのになぜ上回れなかったのか。理由がわからない」と首をかしげます。
暴走政治を批判
前回から立候補者が10人少ない市議選で、日本共産党は1人増の6人を擁立。安倍政権による名護市辺野古(へのこ)への新基地押しつけや憲法9条改悪で「戦争ができる国」に突き進む暴走を批判しました。
国政でも市政でも自公政治の悪政と正面から対決する日本共産党の真価を訴え、沖縄向けに作った法定2号ビラを一気に配布するなど大量政治宣伝で他党を圧倒。「また戦争になってしまう。あの地獄は見たくない」「もう他党には自民党は止められない。共産党しかない」などの共感が広がりました。
別の自民党県議は「ダブル選を通じ、共産党をはじめ糸数陣営が安倍政権との対決姿勢を前面に掲げたことで、無党派層だけでなく保守層の一部からも糸数支持を呼び込む力になったのは間違いない」と語りました。
対抗できる存在
市議選で日本共産党は、1万7781票を獲得し、7氏を擁立した前回から25%の得票増で6氏全員が当選。参院選の比例代表は1万8337得票(得票率13・4%)、前回比62%増でした。
自民党県連の幹部は言います。「民主党にしろ社民党にしろ、これまで沖縄の『非自民』の中心にあった勢力がいまや壊滅状態。その中で主張のはっきりしている共産党が伸びたのは、自民党に対抗できる存在と理解されたからではないか」 (岡素晴)