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2013年7月29日(月)

共産党躍進の衝撃 比例515万票

東京 初の比例第2党

都議選超す 期待の連鎖

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無党派男性 「党員でないのに」対話100人

夫婦で訴え 「まっすぐ届ける」涙が出た

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(写真)小池晃、山下芳生、吉良佳子各氏の当選の報告に拍手をする人たち=22日、東京・新宿駅西口

 参院選投開票日(21日)の深夜、東京都内の開票所で立会人を務めていた公明党区議が絶句しました。積み上がった日本共産党の比例票が上回ったからでした。

力関係動く

 共産党は東京の比例代表で、77万2500票(得票率13・71%)を獲得し、自民党に次いで初めて第2党になりました。第6党だった昨年末の衆院選からわずか7カ月半。議席倍増で第3党に躍進した6月の都議選に続き、政党間の力関係が劇的に動いた瞬間でした。

 翌22日の昼の新宿駅前。無党派でイラストレーターの女性(52)は共産党の宣伝に駆けつけ、「いいぞ」「頑張れ」と声援を送りました。

 駅前は、躍進を喜ぶ多くの聴衆がいました。若い2人連れの男性は当選した吉良佳子さん(東京選挙区)に駆け寄り、「憲法を守って」と激励。入党したいと申し出る人まで現れました。

 原発事故後、原発に反対する市民運動に参加。「安倍政権に真っ向からストップをかけてくれるのが共産党」と1票を託しました。「共産党が幅広い人に浸透しました。頑張って」

 共産党は選挙中、都内で計7台の選挙・政党カーを運行。沿道の声援に応えていると、車中からの訴えが途切れてしまうとのうれしい悲鳴が連日、報告されていました。

 「都議選以上に期待の輪が膨らんだ。1998年以来だ」。都委員会の根岸千明・選挙対策部長は指摘しました。

 都議選での議席倍増で、“共産党に入れても議席は増えない”という死票論は崩壊。さらに、支持拡大の規模も久々に3年前の前回を上回り、結果は都議選票を16万票上回りました。

動画が話題

 異例の選挙でした。

 「脱原発スモールアクション」代表の男性(53)は7日、吉良氏の応援演説に立ち、「前回の衆院選で生まれて初めて共産党に投票しました」と打ち明けました。

 無党派。しかも憲法9条改正論者です。「ただ、安倍政権がやる憲法改正は危ない」。大反対という原発とTPP(環太平洋連携協定)を論じ、「この暴走列車を止めるのは、人間性を重視し、弱者の視点に立てる共産党だ」と訴えました。演説の動画はインターネットで話題になり、翌日だけで100人が視聴しました。

 原発に反対するデモなどに行くと、必ず吉良氏がいました。「市民と一緒になって行動できる。戦友です」

 飲み屋で、隣席のお客にも支持を訴えました。「党員でもないのに、何でこんなに応援しているんだろう」。選挙中、友人ら約100人と対話しました。

 「どこの政党に投票しても同じなどと思われていますが、唯一、共産党は違います。政治は大きく変わる。期待度は非常に高い」

 夫妻で応援演説に立った人もいます。

 会社員の女性(45)と夫(47)です。13日、地元の練馬区の駅頭で訴えました。

 前回の衆院選。女性は悩んだ末、脱原発を掲げた未来の党に投票しました。しかし、未来の党は直後に解党。「ブレないどころか、消えてしまった。絶望しました」

 原発に反対する市民運動を通じ、共産党を見つめ直しました。

 応援演説の原稿は3日かけて書き上げました。小学1年の息子を育てる母親として、「憲法を改悪され、息子が戦争に行かされるかもしれません。息子が人を殺すことも殺されることも、耐えられません」と訴えました。

 数日後、吉良氏が演説で、この言葉を代弁していることを知りました。ネットの動画でその演説を聞き、涙があふれました。「私たちの声をまっすぐ国会に届けてくれる。だから信じられます」

“命”の1票

 公示日4日の新宿駅前での共産党の第一声。都内の男性(44)は手元のうちわに、「三食 食べたい」と書いて掲げました。

 介護施設の未払い残業など劣悪な環境から、うつ病を発症。派遣社員になった転職先で症状を悪化させ、生活保護を受けました。

 原発事故後、「世の中をよくしようと何もしないできた」と反省し、反原発の運動に立ち上がりました。その交通費を捻出するため、食事は100円のビスケットですませ、回数も減らしました。

 運動を通じて共産党員に出会いました。「忙しいのに、会計など誰もやりたがらない役割を引き受けてくれる」。感心しました。

 一方、支持してきた公明党に裏切られ、生活保護費は8月から削減。廃案になった生活保護改悪法案も再び採決が狙われています。

 命がかかった選挙でした。「共産党を大きくするしかない」。初めて共産党に投票しました。

 「第3の躍進の波の始まり」を象徴する東京の比例第2党。共産党への1票には、多様で切実な願いが込められていました。

 (酒井慎太郎)


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