2013年7月29日(月)
オスプレイ陸揚げ
岩国基地増強浮き彫り
米海兵隊が普天間基地(沖縄県宜野湾市)に追加配備予定のMV22オスプレイ12機の陸揚げが30日、岩国基地(山口県岩国市)で行われようとしています。昨年、オスプレイの普天間基地への初配備のために陸揚げが行われたのも岩国基地でした。その理由は、どこにあるのか。
(榎本好孝)
日米同盟の要
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「われわれは、水深のある港と飛行場が併設されている岩国基地の運用能力を実証することができ、非常に満足している。岩国基地が、西太平洋の戦略的米日同盟における後方支援のリンチピン(要)であることを浮き彫りにできた」
昨年7月、岩国基地にオスプレイ12機が陸揚げされた際、ジェームズ・スチュアート基地司令官(当時)はこう語りました。(岩国基地機関紙「イワクニ・アプローチ」2012年7月27日号)
オスプレイを運んだ大型車両運搬船グリーン・リッジが陸揚げのため停泊したのは、岩国基地にある水深13メートルの岸壁。「航空機事故の危険や騒音の軽減」を口実にした新滑走路建設のための基地拡張工事でつくられた新岸壁です。
岩国基地の拡張工事は1997年に開始されました。総事業費約2500億円はすべて日本政府の「思いやり予算」。瀬戸内海に面した基地の沖合を埋め立てて新滑走路を建設するというもので、2011年に完成しました。これに伴って港湾施設も新設され、岸壁の水深は以前の8メートルから13メートルになり、大型船舶の入港が可能になりました。
実際、米軍が世界の港湾を分析した報告書(99年)は「岩国基地の将来の港湾施設は米軍の海上輸送作戦を支援するのに十分な能力を持つ」と指摘していました。(内部告発サイト・ウィキリークスから)
重要訓練拠点
新たな滑走路や港湾施設の建設など軍事機能の増強が、岩国基地をオスプレイの陸揚げ先としてうってつけの場所にしたのです。
加えて岩国基地は、普天間基地に配備されているオスプレイの日本本土での最重要な訓練拠点になっています。オスプレイの訓練目的での岩国基地への飛来は今年3月から始まり、すでに5回。四国地方の「オレンジルート」での低空飛行や夜間飛行など危険な訓練を繰り返しています。
米海兵隊の航空基地として普天間基地と岩国基地は不可分一体です。オスプレイの配備撤回のため、岩国基地への陸揚げ、訓練反対の世論と運動を広めていくことが必要です。