2013年7月26日(金)
陸自毒ガス製造問題 年間最大500グラム超える
サリン・VXガス… 地元自治体「認識ない」
塩川議員へ提出の防衛省資料
陸上自衛隊化学学校(埼玉県さいたま市)がサリンなどの毒性化学物質を製造していることが判明した問題(6日付既報)で、防衛省はこのほど、2008〜12年の製造・使用・廃棄の実績数量を明らかにしました(表)。日本共産党の塩川鉄也衆院議員へ同省が提出した資料でわかりました。
資料によれば、過去5年間で製造されたことがあるのはサリン(シクロサリン含む)、タブン、ソマン、VXガス、マスタードガス、窒素マスタード、ルイサイトの7種(8種)。年間製造量は合計で最大510グラム(11年)、使用量は最大445グラム(08年)などとなっています。
これらは、毒性からの「防護に関する研究」を目的に製造しているとしていますが、大量の人間を死に至らしめることが可能な量です。例えば、最も毒性の強いVXガスの場合、皮ふ浸透でのヒト半数致死量(投与された人間の半数が死亡する推定値)は毎分あたり6ミリグラム/立方メートルとされています。(1ミリグラムは1000分の1グラム)
また、防衛庁(当時)が、化学兵器禁止条約が批准された1995年に埼玉県や大宮市(当時、現さいたま市)などに対し、条約や化学学校の概要について説明を実施していたことも明らかになりました。しかし、防衛省担当者は当時の資料が確認できず、「具体的な説明内容は承知していない」としています。
さいたま市危機管理部は同学校でサリンなどが製造されている事実について「認識はない。本紙の報道で知った」と回答。「近隣住民の安心・安全のため、今後国と対策・情報の共有について協議する必要がある」としています。
塩川議員は、同学校の内部規則には駐屯地外へ被害が広がる事故の場合、地元自治体や住民などに通報するよう定めている一方、情報の共有がなんら図られていないとして、自治体・住民へ説明の場を設けるよう求めました。
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