2013年7月26日(金)
独労働者 賃上げスト
“ブラック企業”米アマゾン
産別労働協約に従いなさい
米オンライン小売り大手アマゾン・ドット・コムのドイツ物流センターで働く労働者約9000人が、熱いたたかいを繰り広げています。同社は不当に安い賃金で労働者を使い、ボーナスも支払わないなど、その“ブラック”ぶりは目に余ります。労働者は粘り強く争議を続けています。(片岡正明)
「アマゾンはヘッセン州の小売業労働協約に従えという、労働者の真剣な訴えを理解すべきだ」
19日、同州バートヘルスフェルトにある同社物流センターの前で開かれた抗議集会で、労組の代表、メチシルド・ミデッケ氏は訴えました。同物流センターでは9度目となるストライキが行われ、数百人が参加しました。
ザクセン州の最大都市ライプチヒの物流センターでも18日、500人超の労働者が一日ストを実施しました。
ドイツのアマゾンで働く労働者が加入する統一産業サービス労組(ベルディ)によると、全国8カ所の物流センターのうち、バートヘルスフェルトとライプチヒ以外にも4カ所で労働者の代表組織「事業所評議会」が結成され、会社側への抗議と交渉を準備しています。
ドイツでは産別の企業団体と労組が労働協約を結ぶのが慣例。小売業の労働協約は賃金について、バートヘルスフェルトのある旧西独地域で時給12・18ユーロ(1ユーロ=約131円)、ライプチヒのある旧東独地域で同10・66ユーロと定めています。
ところがアマゾンはそれぞれ9・83ユーロ、9・30ユーロしか支払っていません。夏冬のボーナスも支給せず、午後8時以降支払わなければならない夜勤手当は、午前0時を過ぎた労働時間しか認めていません。
労組は労働協約を守るよう交渉してきましたが、アマゾンは真っ向から拒否。労組は4月に組合員投票を行い、98%の賛成でスト権を確立、断続的にストを実施しながら交渉を続けています。
最大野党の社会民主党や左翼党も支援を表明。ベルディのブジルスケ委員長は「配送センターの作業はたいへん厳しい労働だ。この労働を安く買いたたく米大企業の横暴を許すか、労働者の権利を守るか大事なたたかいだ」と強調しています。