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2013年7月26日(金)

主張

TPP交渉初参加

安倍政権の密室外交の危険

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 環太平洋連携協定(TPP)交渉の12番目の参加国として、日本が初めて加わった交渉会合が終わりました。日本の交渉官らには厳しい守秘義務が課せられ、交渉経過を示すテキストにやっと目を通したものの、実情を知ろうと現地コタキナバル(マレーシア)に集まったメディアや農業団体など関係者にさえ、まったく情報を明かしませんでした。国民に隠れて進められる交渉で、どうして「国益」を守れるでしょうか。

守るべきものも

 参院選で議席を伸ばした自民党には、公約を実行する責任があります。重要5品目(コメ、ムギ、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)の「聖域」を確保する、国民皆保険制度を守る、食の安全安心の基準を守る、国の主権を損なうようなISD(投資家と国家の紛争解決)条項は合意しない、政府調達は日本の特性を踏まえる―が自民党の政策です。昨年末の総選挙後のように、「政策であって、公約でない」(安倍首相)という二枚舌は通用しません。

 参院選投開票の翌日、菅義偉官房長官は「守るべきものは守る、攻めるべきものは攻める」と「交渉力」をアピールしました。通商交渉には「ギブ・アンド・テーク」がつきものです。まして、「21世紀型」の徹底した市場開放が売り物のTPPでは、「守るべきもの」が守れません。

 今回はコタキナバルよりワシントンの方が重要かもしれません。茂木敏充経産相がフロマン米通商代表部(USTR)代表と会談し、TPP交渉参加を踏まえて日米間の並行協議を進めると確認しました。多国籍企業の利益を確保しようとする点では、安倍政権とオバマ米政権との利害は一致します。同時に、「寄らば大樹の陰」ということか、TPP交渉を主導する米国に歩調を合わせることで、オーストラリアやニュージーランドなど農産物輸出国の圧力をかわそうという狙いもうかがえます。

 米国と歩調を合わせようとすることこそが危険です。フロマン代表が出席した米下院歳入委員会の公聴会(18日)では、議員側からコメや自動車などをめぐって日本に高飛車な注文がつきました。キャンプ委員長(共和党)は「自動車、農産物、保険をはじめとするかねてからの日本の関税・非関税障壁を全面的に取り上げる」よう要求しました。民主党筆頭のレビン議員も「(2国間での)米国と日本との交渉内容は、米経済に重大な影響があるうえ、米議会がTPPをどう受け取るかにも影響する」とくぎを刺しています。

 日本のTPP交渉参加に合わせて、日本郵政が米保険会社アフラックのがん保険販売を拡大すると発表したことも、簡易保険を問題視してきた米保険業界の非難を前に、米国への譲歩をみせたものとみられます。

米国にすり寄る

 交渉会合は今回が18回目で、米国の目標通りに年内妥結をめざすなら、残すところわずか数回です。「守るべきものは守る」と安倍晋三政権がアピールしている「強い交渉力」など、問題にならないどころか、米国にすり寄る姿勢ばかりが目立つようになっています。安倍政権の暴走を許さず、TPP交渉から撤退させることが不可欠であり、TPP反対の運動をさらに高める必要があります。


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