2013年7月25日(木)
インド「貧困基準低すぎ」
政府の計算方法に批判噴出
【ニューデリー=安川崇】インド政府は23日、貧困線以下で暮らす国民が2005年以降の7年間で1億3000万人減ったと発表しました。しかし1日の消費額が都市部で33ルピー(約55円)以下という貧困線の基準が「低すぎる」との批判が噴出、現地紙は「政府は数字をいじることで1億人以上を貧困から救う奇跡を成し遂げた」などと皮肉たっぷりに伝えています。
発表によると、05年に4億人(人口の37・2%)いた貧困線以下の国民は、12年には2億7000万人(同21・9%)に減りました。政府は国民会議派政権の成長政策の成果だとしています。
これについて大手紙ダイニク・ジャグラン24日付は「月に1000ルピーしか稼がない人は貧困層と見なされないのか」と批判しました。首都ニューデリーの最低賃金は職種・学歴により月額7000〜9000ルピー。店頭では比較的安いコメが1キロ30ルピー前後で売られています。
政府は11年、貧困線の基準となる1日の消費額を都市部で32ルピーと発表。この時も強い批判を受け、計算方法を見直すための政府委員会を任命しました。しかし結論が出るのは来年の予定で、今回は従来の計算方法を使ったといいます。
同紙は「政府は来年の総選挙を意識して、委員会の結論を待つのは得策ではないと考えたのだろう」と指摘しています。