2013年7月21日(日)
第18回TPP交渉利害関係団体会合
“生活、健康に悪影響”
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【コタキナバル=面川誠】マレーシアのコタキナバルで開かれている環太平洋連携協定(TPP)第18回交渉は20日、各国交渉官が利害関係団体の意見を聞く「ステークホルダー会合」を開きました。各団体代表から、TPPは国民の生活や健康に悪影響を与える恐れがあるとの批判が相次ぎました。
発展途上国の非政府組織(NGO)の連合組織「第三世界ネットワーク」のサニヤさんは、23日から交渉参加予定の日本が米国との事前協議で米国の要求をほとんどのまされたことを指摘。「TPPを主導する米国は、自国の農業保護は維持したまま他国に市場開放を強いている」と批判しました。
マレーシアのエイズ患者を支援する「マレーシアエイズ会議」のフィファさんは、かつて「死刑宣告」に等しかったエイズは治療薬の発達で患者の負担が大きく改善されたと強調。特許切れの安価なジェネリック薬品が、TPPによる特許延長で価格が跳ね上がれば途上国の患者は治療が受けられなくなると述べ、「TPPはエイズ患者に再び死刑を宣告するに等しい」と訴えました。
オーストラリアの消費者団体「チョイス」のマクドゥガルさんは、貿易や投資の自由化が消費者の健康と権利を害してはならないと指摘。最低限の措置として、外資が進出先政府を提訴できる「ISD条項」について、消費者の権利と健康を守る措置は除外すべきだと提案しました。
ステークホルダー会合で41団体の代表が発言。ほとんどが反対か批判的な立場でした。今回の交渉は知的財産権が主要議題となっています。参加した団体代表の多くは、米国の主張する知的財産権保護のせいで、必要な情報や技術の利用が制限されて医療の普及や食品の安全性が脅かされる懸念を訴えました。
(写真は面川誠撮影)