2013年7月15日(月)
自民、基地問題もひた隠し
沖縄 「二重公約」に県民怒り
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる同県名護市辺野古への新基地建設が重大争点になっている参院沖縄選挙区。自民党本部が作成した参院選公約には「辺野古移設を推進」と明記しています。一方、同党沖縄県連が作成した候補者の「政策ビラ」には「県外移設を求め」ると記しており、明らかな二重公約です。県民からは「二枚舌だ」「争点隠し」との批判が相次いでいます。
自民党は公示から現在まで基地問題には一切言及しない作戦をとっています。
「争点は景気回復だ」。11日の同県名護市内での自民・公明の合同決起大会。普天間基地「移設」先の地元ながら、候補者をはじめ、応援演説の仲井真弘多県知事、自公の国会議員らの誰一人として、基地問題はおろか、自らが掲げる公約のくい違いに一切言及しません。壇上では、「県外移設」に言及はしている候補者と、公約を裏切って今では「県内移設」を公言する自民党現職議員が並ぶ異様さでした。
同選挙区が自公政権にとって単なる1議席とは異なる重みをもっているのは確かです。
安倍首相は2月の日米首脳会談で、オバマ大統領に辺野古「移設」を誓約。“日米同盟がかかる議席”の終盤戦に向け、16、17日には安倍首相が沖縄入りし、てこ入れを図る戦略です。
年内にも見込まれる県知事の埋め立て申請の許認可、来年初めの名護市長選を控え、参院選で勝って、普天間基地の「県内移設ノー」の県民総意を覆す突破口にしたい思惑が見え隠れします。
同市安部(あぶ)に住む坂井満(みちる)さん(39)は、自民党の公約のくい違いについて「これでは国民・県民に約束する意味がないですよね」と話します。「こういうやり方に国民がもっと怒らなければ、実権を握った後は何をやってもいいということにならないでしょうか」
安倍内閣 基地増強狙う
海兵隊・オスプレイ・訓練…
共産党 脱「基地国家」の道示す
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「沖縄の基地負担を少しでも軽くするよう、全力を尽くします」。安倍首相は6月23日、沖縄「慰霊の日」の式典でこう述べました。しかし、実際に日米両政府がやろうとしているのは、辺野古の新基地建設にとどまらない、基地負担の大幅な増強です。
日米の狙いは
オバマ米政権は、アジア太平洋地域への兵力再配置を進めています。米海兵隊トップのエイモス総司令官は今年1月末、米海軍協会の講演で、今夏から兵力を数千人規模で増やし、在沖縄海兵隊を最大2万人まで増強する考えを示しました。
国内最悪の爆音被害に苦しむ嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)では、ステルス戦闘機・F22Aラプター12機が、1〜4月までの予定だった「暫定配備」を「予算上の理由」(同基地報道部)から無期限で延長。居座りを続けています。
さらに、参院選直後の7月末に垂直離着陸機MV22オスプレイ12機を岩国基地(山口県岩国市)に陸揚げします。1週間程度の試験飛行を経て、8月上旬にも普天間基地に配備。全体で24機に達します。
沖縄本島や伊江島での無法な訓練が拡大するだけではありません。今年に入り、オスプレイは、岩国基地を準基地化して四国で低空飛行訓練や夜間訓練を展開。従来のヘリと比べて航続距離が長い同機が増えれば、キャンプ富士(静岡県御殿場市)など本土での訓練拡大につながります。
本土でも、航空自衛隊経ケ岬分屯基地(京都府京丹後市)に米軍Xバンドレーダーを設置し、府内初の米軍基地を置く計画まで狙われています。
無条件撤去を
今、米国の同盟国で基地の増強が進んでいるのは日本だけです。全国に132の基地が置かれ、海兵隊や空母打撃群といった地球規模の「殴りこみ」部隊の唯一の海外拠点になっています。「米軍基地国家」ともいえる異常な状態から抜け出す筋道を示しているのが日本共産党です。
まず、米軍専用基地の74%が集中する沖縄の基地問題が解決しなかったのは、すべて「移設」条件付きの返還合意だったからです。日本共産党は辺野古への新基地建設問題が出てきた当初から、唯一、普天間基地の「県内移設」に反対して無条件撤去を訴えてきました。「県内移設反対」は今、オール沖縄の声になっています。
また、政府は全国に基地を押し付ける根拠として、「在日米軍=抑止力」論を挙げます。しかし、中国との尖閣諸島問題も、北朝鮮の核・ミサイル問題も、軍事ではなく、対話による解決しかないのは明白です。日本共産党は、日米安保条約を廃棄し、東南アジアで広がる「平和的安全保障」の枠組みを北東アジアにも広げ、紛争の平和的解決を訴えています。
条約10条に基づいて廃棄を通告すれば、1年以内に基地をなくすことができます。