2013年7月14日(日)
エジプト 根深い対立
「全国民の力で新政府を」 タハリール広場の市民
同胞団 モルシ氏の復職要求
【カイロ=小泉大介】エジプトの首都カイロのタハリール(解放)広場で12日、軍によるモルシ大統領解任(3日)後の政治の前進をめざす人々の集会が取り組まれました。一方、この日はモルシ氏の出身母体であるイスラム主義組織・ムスリム同胞団もカイロ郊外で大規模デモを行い、同氏の復職を要求するなど、「対立」の根深さも浮き彫りとなりました。
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12日はイスラム教の断食月ラマダンが10日に始まってから最初の金曜礼拝の日となりました。モルシ前大統領退陣を求めた空前のデモの主要舞台となったタハリール広場では、人々が料理を持ち寄り、家族や友人同士で1日の断食明けの最初の食事(イフタール)をしながら新しい政治のあり方について語りあっていました。
「暫定首相に任命されたビブラウイさんがムスリム同胞団にも入閣を求める姿勢を示しています。今後のエジプトにとってとても大事なことだと思います」といったのは小学校教師の女性、アマル・ファハミィさん(27)。「これからは、軍部の介入を許すことなく、全エジプト人の力で新たな国をつくっていきたい」と笑顔でつづけました。
男性会社員のマフムード・エルバズさん(31)も「イスラム教徒もキリスト教徒も、女性も男性も、すべてのエジプト人がこの国の主人公です。それが、ムバラク体制を倒した一昨年の革命の根本精神であり、いま改めて思い起こす必要があります」と力を込めました。
暫定政権参加拒否を表明しているムスリム同胞団は、カイロ郊外のモスク(イスラム教礼拝所)周辺でデモに取り組み、宗教指導者が「(モルシ氏解任は)クーデターであり、これに関与した勢力とは一切交渉しない」「モルシ氏が大統領宮殿に戻るまで、ここにとどまりつづけよう」と訴え。参加者たちは「私たちの大統領はモルシ氏だ」「イスラムを守るためにたたかいつづけるぞ」などと夜遅くまで唱和をつづけました。
ラマダン イスラム世界で使われているヒジュラ暦の第9月のことで、1年で最も神聖な期間とされます。この1カ月間(時期は毎年変動)、子どもや病人、妊婦などを除き、日の出から日没まで喫煙を含む一切の飲食と性行為を絶つことがイスラム教徒の五つの義務のうちの一つとなっています。