2013年7月12日(金)
最賃引き上げ可決
ワシントン市議会 大型小売店が対象
【ワシントン=島田峰隆】米国の首都ワシントンの市議会は10日、大型小売店で働く労働者の最低賃金を大幅に引き上げる法案を賛成8、反対5で可決しました。対象となる小売業世界最大手のウォルマートは、可決した場合は市内への出店計画を見直すとして議員に圧力をかけていました。
拒否権の行使 市長否定せず
法案はグレイ市長が署名すれば成立します。同市長は9日、「法案が市の経済発展を実際に促進し、雇用機会を増やすのかよく考えてほしい」と発言。拒否権を行使する可能性を否定していません。
可決した法案は、市内に一定の面積を超える店舗を持つ小売業者に対し、売り場で働く従業員の最低賃金を時給で現在の8・25ドルから12・50ドル以上へ引き上げることを求めています。
提案者のビンセント・オレンジ議員(民主党)は10日、「市は貧しい賃金を大目に見るべきではない。問題はウォルマートが来るかどうかではなく、生活費を賄える賃金を保障するのかどうかだ」と訴えました。
ウォルマートは10日、法案の可決を受けて市内に計画している6店舗のうち3店舗の出店を撤回すると発表しました。ワシントン・ポスト紙10日付には同社幹部が寄稿し、市は雇用増の機会を失うなどと脅して法案の否決を求めていました。
同紙(電子版)は10日、「ウォルマートの最後通告はいずれの議員の考えも変えることはなかった」と伝えました。