2013年7月11日(木)

自民、民主、維新参院１０候補

生命保険業界の政界工作対象

パー券購入や選挙応援も

　「違法、不正な癒着関係構築が目的だった」として株主代表訴訟が起こされている生命保険業界の政界工作で、今回の参院選に立候補した自民、民主、維新の計１０人の候補者が業界の選挙応援を受けたり、パーティー券購入対象者の“リスト”に登載されていることが１０日、本紙の調べでわかりました。

（写真）北神氏への専務の陣中見舞いの現地案内役となった第一生命京都総合支社

　生保業界の政界工作をめぐっては、多額の保険金不払い疑惑を抱える第一生命の渡辺光一郎社長が主導した“金融族”議員の選挙応援やパーティー券購入が明らかになっています。

　第一生命が東京地裁に提出した資料によると、自民党７人、民主党２人、維新１人の計１０人が工作対象リストに登載されています。

　このうち、民主党の北神圭朗・前衆院議員（京都選挙区）は、総選挙中の２００９年８月１９日に当時、専務執行役員だった渡辺社長が“陣中見舞い”に駆けつけています。自民党の木村義雄・元厚労副大臣（比例区）にも同月２９日に訪問しています。

　自民党の林芳正農水相（山口選挙区）と木村氏は、それぞれ４４万円と６８万円分のパーティー券を０７年度に第一生命が購入しています。維新の中山恭子・元拉致問題担当相（比例区）は、２０万円分の購入を受けています。

　政界工作では、大手生保４社（日本生命、第一生命、住友生命、明治安田生命）が連携して、国会議員の格付けリストを作成。０９年度のリストには、衛藤晟一首相秘書官（比例区）や世耕弘成・内閣官房副長官（和歌山選挙区）、丸川珠代・厚労政務官（東京選挙区）ら安倍政権幹部が、「若手議員」として格付けられていました。

　工作対象となっていた候補者はほかに、自民党の溝手顕正（広島選挙区）、山東昭子（比例区）、民主党の大塚耕平（愛知選挙区）の３氏。

　第一生命などは、この格付けを元にパーティー券の購入額や接待の規模を決めていました。

　北神氏の“陣中見舞い”をした渡辺氏は、当時、同社の政界工作部門の責任者。０９年の総選挙で渡辺氏は候補者２８人の応援行脚をしていますが、いずれも党首や派閥幹部、財務相や金融担当相、党の部会や衆院財務金融委員会の要職者です。