2013年7月9日(火)
生活保護基準引き下げ
就学援助制度に影響しないよう
自治体からも懸念する声
文科省に全生連
全国生活と健康を守る会連合会(全生連・安形義弘会長)は8日、文部科学省に対し、8月から行われる生活保護基準の引き下げに連動して就学援助制度の利用者に影響を出さないように要請しました。
就学援助の対象は、義務教育をうけている子どもを持ち、生活保護を利用する「要保護者」と生活保護に準じる経済的に困難な「準要保護者」です。
準要保護者の範囲は、自治体が生活保護基準を目安に設定。そのため8月からの生活保護基準引き下げに連動し、就学援助の対象範囲が狭まるのではないかとの懸念が上がっています。
文科省の担当者は「今年4月に就学援助の対象だった要保護者は、8月以降も対象とする。準要保護者については各自治体の判断によるが、同様の取り扱いをお願いしているところだ」と説明。来年度以降も影響を出さない方針だとしながらも、「予算が確保できない限り、確約はできない」と述べました。新たに就学援助を申請する人に対しても、同様だとしました。
全生連の坂口忠男副会長は「生活保護基準の引き下げは3年かけて行われる。毎年、予算措置しなければ、利用できなくなる子どもが出てくる」と強調しました。
参加した千葉県流山市の関本智子さん(45)は、中3と小6、小4の子どもたちの母親です。「基準ぎりぎりで就学援助を受けられています。基準が下がったら、切られてしまうのではないかと不安です」と訴えました。
全生連はこのほど、生活保護基準に引き下げに伴う就学援助制度への影響について、県庁所在地や政令都市などを対象にアンケート調査を実施。回答した55自治体中49自治体が就学援助の適用基準が生活保護基準と連動しているとしました。保護基準引き下げの影響が出ないと答えたのはわずか1自治体でした(2日現在)。
北九州市は「来年度から影響が出ると思う。手厚い援助を国に要望している」とコメント。就学援助の認定基準について今後検討するとした愛媛県松山市も「教育の機会均等を確保するために国の財政措置が必要だ」としています。
全生連は同日、厚生労働省に対し、生活保護法改悪案を国会に再提出しないことなどを要請しました。