2013年7月8日(月)
主張
参院選と憲法
守り生かす、たしかな力を
安倍晋三政権のもとでの参院選挙は、憲法改定問題が大きな争点となる異常な様相を強めています。歴代の自民党政権は、首相が改憲論者でも、任期中は改憲を封じ込めるのが通例でした。しかし、自民党内でも異常な「タカ派」の安倍氏は、自衛隊を「国防軍」にする憲法9条改定や、改憲の発議要件を緩和する96条改定の企てを隠しません。衆院に続き参院でも改憲勢力で3分の2の議席を確保し、改憲に踏み出す狙いです。改憲の“暴走”を阻止するとともに、憲法を守り生かす確かな力を大きくすることが急務です。
改憲の暴走に立ち向かう
自民党=「『日本国憲法改正草案』を発表しています。憲法を、国民の手に取り戻します」。
日本維新の会=「改憲の賛否を問うために…まず憲法96条改正に取り組む」。
公明党=「時代に見合って憲法を発展させるに当たっては…『加憲』がもっとも現実的で妥当」。
改憲の狙いを隠そうともしない自民や維新など各党の参院選公約は、選挙の結果次第では改憲に向けて動き出す、異常な切迫感を浮き彫りにしています。記者会見やテレビ討論などで改憲を公言してきた安倍首相は、街頭演説でも改憲にふれはじめています。
安倍首相は昨年の政権復帰以来、改憲の発議要件を衆参それぞれ国会議員の「3分の2以上」の賛成から「過半数」に緩和する96条改定を先行させ、改憲に踏み出す意向を繰り返してきました。96条改定先行の目(もく)論(ろ)見(み)は立憲主義を壊すとの強い反対に直面していますが、改憲の執念は変えていません。
自民党が参院選公約にも盛り込んでいる「憲法改正草案」は、憲法9条を改定して自衛隊を「国防軍」とし、「集団的自衛権」の行使や「交戦権」を認めるとともに、基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」とした条項を廃棄し、国民の自由や権利を制限するとんでもない内容です。改憲の“暴走”に立ち向かい阻止することが参院選の大きな焦点です。
日本共産党は参院選公約で、「安倍政権の改憲への暴走と対決し、憲法を守り、生かす政治を」と明記しています。96条改定をやめさせ、立憲主義を守るとともに、憲法9条を守り、日本を「海外で戦争する国」にする改憲策動を許さず、9条を生かした平和の外交をすすめる国にしていくことです。同時に、日本国憲法の全条項を守り、民主的・平和的条項の完全実施を求めています。
民主党や公明党は96条改憲の先行には反対するとしていますが、改憲そのものには「未来志向の憲法を構想する」(民主)とか、「加憲」(公明)とかいって容認する立場です。安倍首相に、「民主党内にも(改憲に)賛成する人がいる」といわれても反論できません。
国民多数は改憲望まぬ
安倍首相は、「国民の多数が改憲を望んでも衆参のどちらかで3分の1を超える議員が反対すれば発議できない」と、96条改定を正当化しますが、どの世論調査でも、国民の多くは改憲を望んでいません。96条の改定や9条の改定には過半数が反対です。
国民多数の意思を国政に反映させることこそ、「ねじれ」の解消です。そのためには9条改定にも96条改定にも反対する、日本共産党の議席を伸ばすことが重要です。