2013年7月6日(土)
“若者に雇用の希望を”
EUが失業対策サミット
11月にパリ会合 進展状況確認へ
【パリ=浅田信幸】若者の失業問題が深刻さを増している欧州連合(EU)は3日、ベルリンで18カ国の国家首脳、全28カ国の労働大臣、欧州議会の代表らを集め、若者雇用対策をテーマとする会合(ミニサミット)を開きました。各国の対策や経験について意見交換し、11月にパリで改めて会合を開き、進展状況を確認することで合意しました。
合同記者会見でメルケル独首相は「きょうの会合で期待を高めたのだから、われわれ自身に圧力をかけたい」「一朝一夕で問題を解決することはできないが、次回の会合までに前進を確認する必要がある」と発言。これに応えてオランド仏大統領は「われわれは前進する義務を負っている。若者に希望を与えるという義務だ」と強調しました。
EUの25歳未満の若者の失業はほぼ4人に1人、560万人(5月現在)に上ります。とくに南欧のギリシャ、スペインでは失業率が60%近く、ポルトガル、イタリアでも40%に達し、「失われた世代」論議を巻き起こしてきました。
EUは6月末に開いた首脳会議で、若者雇用と、雇用拡大に大きな役割を担う中小企業支援の方針を確認。独自の雇用促進対策(職業紹介や職業訓練など)だけで80億ユーロ(約1兆円)を投入することで合意しています。
これに加えて今回の会合では、若者を雇用する中小企業への支援策として、欧州投資銀行(EIB)が向こう2年間で600億ユーロ(約7兆8000億円)の融資を計画していることも明らかにされました。
一方、現地からの報道によると、会場となった独首相府の外では各国から集まった約300人が抗議集会を開き、「話だけの政治家なんか信用しない」などの声が上がりました。独社民党のガブリエル党首もこれに加わり、2カ月後の総選挙を前にした今回の会合を「選挙目当てのショーだ」と批判しました。