2013年7月4日(木)
エジプト全土デモ 首都だけで100万人
大統領が辞任拒み緊迫
【カイロ=小泉大介】エジプトのモルシ大統領は2日深夜にテレビ演説し、国民の辞任要求を拒否する姿勢を鮮明にしました。しかし、反大統領派はこの日も全土でデモを繰り広げ、首都カイロだけで約100万人が参加しており、辞任拒否はその怒りの火に油を注ぐ可能性があります。エジプトの激動がつづくことは必至の状況となっています。
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モルシ大統領はテレビ演説で、「私は国民に選挙で選ばれたのであり、今後も職責を果たす」「命をかけてこの正統性を守る」などと表明。また自身のツイッターでは、軍が1日、48時間内に「国民の要求」に応えるよう大統領に対して行った“最後通告”の撤回も要求しました。
一方、カイロでは2日、中心部のタハリール広場や郊外の二つの大統領宮殿前をはじめ、いたるところで大統領退陣を求める大小のデモが取り組まれました。
タハリール広場の人波のなかで「わたしは、(全土で数百万人が反大統領デモに参加した)6月30日からここに座り込んでいます」といったタクシー運転手の男性、アフメド・モアタズさん(35)は「30日をもって大統領の正統性は完全になくなりました。私は大統領が辞任する日までここにとどまります」と固い決意でした。
大統領宮殿前でも会社員の女性、マイ・ムーサさん(27)が「大統領は正統性をいいますが、ウソで票をかすめ取った人にそんなことをいう資格はありません。正統性は国民の側にあり、国民こそがエジプトの未来をつくるのです」と語りました。
反大統領派のデモが拡大するなか、2日までに辞表を提出した閣僚は6人に達しました。同日には大統領府報道官2人が辞任したのに加え、約150人の外交官が連名で「国民の要求を支持する」との声明を出すなど、政権内部の離反も拡大しています。
ただ、大統領の出身母体であるイスラム主義組織・ムスリム同胞団は政権維持のためになりふり構わぬ態度に出ており、衝突激化の危険性が強まっています。同胞団指導部は2日、軍による“最後通告”は「クーデター」だとしたうえで、「これを阻止するために殉教者となることは、(一昨年初めの)革命で命を落とした者たちに報いることだ」などと、団員に流血の覚悟を求めました。