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2013年6月30日(日)

主張

最低賃金審議へ

政府は時給1000円へ決意を

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 今年度の最低賃金額改定の「目安」を決める厚生労働省の中央最低賃金審議会が7月2日から始まります。政府は「成長戦略」に「最低賃金の引き上げに努める」と書き、田村憲久厚労相自身が審議会に出席して引き上げを求める諮問をすると表明しています。労働者の賃上げなしに「デフレ不況」の打開は不可能です。とくに最低賃金の引き上げは、全体の賃金を底上げする重要な効果があり、政府が引き上げの姿勢を示すのは当然です。その姿勢をポーズで終わらせないよう、まともな生活ができる時給1000円以上をめざして運動を強めることが重要です。

まともな生活保障を

 現在の日本の最低賃金は全国平均で時給749円です。年間フルタイムで1800時間働いても収入は134万8000円にしかなりません。最低生活を保障する賃金とはいえない異常な低さです。年収200万円以下の「ワーキングプア」といわれる低賃金の労働者が民間、公務あわせて1000万人を超えている要因です。

 最低賃金は、「労働者の生活の安定」「国民経済の健全な発展に寄与」することを目的に、法律で最低額を保障することになっています。金額は、審議会での検討を経て厚生労働相に決定権があります。まともな生活が保障されていない現在の最低賃金の水準は、政府の怠慢に最大の原因があるといえます。欧州諸国はほとんどが時給1000円を超えており、しかも貧困と格差の是正、経済の成長政策の重要な柱に最低賃金を位置づけて水準を上げています。

 世界の水準に早く到達することが政府に求められています。厚労相が審議会に出席して引き上げを諮問するのは3年ぶりで、今回が3回目だといいます。大臣が出席した過去2回の引き上げ「目安」額は、2007年が平均14円、10年が同15円で、他の年に比べてやや高かったものの、最低生活の保障とはほど遠い低額でした。

 厚労相は、過去の例にならうことなく、大幅な引き上げを諮問するべきです。時給1000円以上の実現は、労働者、労働組合が一致して求める切実な要求です。これが実現しても年間1800時間働いて年収180万円ですから、貧困から抜け出すのが困難な控えめな要求です。厚労相は、最低生活を保障するためにこの要求にこたえる決意を示すべきです。

 同時に、日本の最低賃金制度が全国一律ではなく、地域別であるために、地域間格差が広がっていることが問題です。02年に最高の東京都と最低の沖縄県の時給格差は104円でしたが、12年には最高の東京都と最低の高知県などとの差が198円に広がっています。地域経済の破壊につながる大問題であり、放置できません。

抜本改善を求め

 安倍晋三首相は、賃上げ政策をもたない「アベノミクス」では「デフレ不況」から脱却できないという国民の批判をあびて、この春、財界に労働者の「報酬引き上げ」を要請しました。弱腰で効果はありませんでしたが、最低賃金は政府が決定権限をもっており、まさに首相の「やる気」が問われています。「大企業がもうければ、いずれ賃金に回る」という「アベノミクス」に期待することはできません。最低賃金の抜本改善へ運動を盛り上げることが重要です。


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