2013年6月28日(金)
エジプト激動
大統領と野党対決姿勢鮮明
反政権100万人デモ計画
【カイロ=小泉大介】エジプトのモルシ大統領は25日深夜、就任1周年(30日)を前にテレビ演説し、早期大統領選挙の実施を求める野党勢力との対決姿勢を鮮明にしました。これに対し野党勢力は一歩も引かぬ構えで、30日には100万人規模の反政権デモを呼びかけるなどエジプト情勢は激動の様相を強めています。
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就任後早くから強権支配に乗り出し、出身母体であるイスラム主義組織・ムスリム同胞団への権力集中を計ってきたモルシ大統領は25日の演説で、「私は(1年の間に)いくつかの過ちを犯した」と認めつつも、「政治的分裂と衝突は民主主義を脅威にさらし、国家全体をまひと混乱の状態に陥れようとしている」と述べ、責任を野党や旧ムバラク政権派に押し付ける立場を示しました。
さらに、「すべての国家機関は国家元首の指導のもと、調和と規律をもって機能している」とし、軍と警察は大統領の完全な統制下にあるとけん制しました。
一方、野党の統一組織である「国民戦線」幹部はこの間、「モルシ政権はこの1年間で、経済破綻と人々の分断をもたらした。これ以上、政治を担う資格はない」(エルバラダイ前国際原子力機関事務局長)「6月30日には、ムスリム同胞団の強権支配を終わらせ、(一昨年はじめの)革命を再び前進させる新たな波をつくろう」(昨年の大統領選挙で大健闘したサバヒ氏)などと、政権批判とデモ参加の呼びかけを強めています。
5月1日に1500万人をめざしてモルシ大統領不信任署名活動を開始し、今月20日に目標を達成した若者中心のグループ“反抗”は26日、新たな政治組織「6月30日戦線」を立ち上げたと発表。「国民戦線」とも協力して30日のデモを成功させるとともに、“モルシ後”の移行政権づくりにも積極的に関与していくとしています。
26日夜には、モルシ大統領演説に抗議するため約1万人が首都カイロ中心部のタハリール(解放)広場に集結しました。男子大学生のモハメド・バドルさん(21)は、「エジプトに新たな独裁者は絶対にいらない。30日には大統領宮殿を包囲して、革命を前進させる国民の底力を知らしめたい」と語りました。