2013年6月27日(木)
EUの緊縮転換促す
首脳会議控え仏大統領
“不況脱出へ各国支援こそ”
【パリ=浅田信幸】フランスのオランド大統領は25日、欧州連合(EU)首脳会議を2日後に控えて、「欧州が人を懲らしめたり、妨げたりすることに献身すれば、市民と欧州は決別することになる」と述べ、EUが緊縮政策一辺倒から抜本的な政策転換に踏み切るよう促しました。民放テレビ・ニュース番組のインタビューに答えました。
EU首脳会議は成長と雇用の拡大を重視する新たな方針提起が主要な課題。財政再建を最優先させるこれまでの方針のもとで、厳しい緊縮政策をとる各国、とくにスペインやギリシャ、イタリアなど南欧諸国では深刻な不況と失業増に見舞われ、国民の間では対EU不信が渦巻いています。
この現状に対し、オランド氏は「欧州が人々を守り、成長を促すのだと見られたら、市民は改めて欧州に顔を向けるだろう」と指摘。「各国が不況から抜け出すのを(EUは)助けるのだということを示す」のが現在の最大の課題だと強調しました。
オランド氏は成長・雇用重視を昨年5月の就任以来、主張し続けてきました。不況の長期化とともにEU指導部の姿勢にも変化が生じています。
オランド氏はこの間、首脳会議に向けて各国の首脳と協議を重ね、厳しい財政事情の下で可能な成長・雇用拡大策を探ってきました。5月末にはメルケル独首相と連携して、若者雇用策「欧州イニシアチブ」を打ち出すことで合意にこぎ着けています。
今回のEU首脳会議は、来年5月に実施される欧州議会選挙まで1年を切ったいま、各国民の不信を払拭(ふっしょく)する転機となりうるかどうかという点でも注目されています。