2013年6月20日(木)
タリバン、米と協議へ
アフガン政府とも進展か
「政治的平和的解決を支持」
【ニューデリー=安川崇】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは18日、カタールの首都ドーハに事務所を開設しました。米政府高官は同日、近日中にタリバン側との接触を開始すると表明。難航していたタリバンと米国・アフガン政府との協議が、進展する見通しが出てきました。
カタールに事務所開設
18日の声明でタリバンは「アフガン侵略を終わらせ、イスラム的政治制度(の樹立)と国内の治安を保障するための政治的、平和的解決を支持する」と表明。最高指導者オマル師の承認を受けた政治委員会が協議を担当するとしています。
米国政府高官によると、米国とタリバンの代表が数日中にドーハで公式会合を持つ予定。その後、アフガン政府の交渉担当窓口であるアフガン高等平和評議会が、タリバン側との協議に入るといいます。
オバマ米大統領は主要8カ国(G8)首脳会議のため訪れた英国で、「これは和平に向けた最初の重要なステップだ」と発言。一方、「まだ初期段階であり、今後多くの壁にぶつかることになる」とも語り、協議の行方は楽観できないとの見通しを示しました。
アフガンのカルザイ大統領は近く代表団をドーハに送ると表明。高等和平評議会のスタネクザイ書記は「協議の場はいずれアフガン国内に移されるべきだ」と述べました。
協議の実現に向けてはこれまでも、米国がタリバン側と予備的接触を持つなどの努力が続いていました。しかしカルザイ政権は自国の頭越しに米国とタリバンが直接交渉することを警戒。またタリバンがカルザイ政権を協議の相手として認めてこなかったことなどから、交渉は進んでいませんでした。
タリバン アフガニスタンの主要民族パシュトゥン人神学生らが中心となり、1994年に設立しました。イスラム教スンニ派の武装組織で「イスラム神学生」の意。2001年のタリバン政権崩壊後も反政府武装闘争を継続しています。最高指導者はオマル師。