2013年6月20日(木)
規制委が新基準決定 原発再稼働ありき
国民の安全置き去り
電力各社 申請へ
原子力規制委員会は19日、原子炉等規制法の改定に伴う、地震・津波対策、重大事故への対策などを求めた新規制基準を決定しました。また原発の運転期間を最長で60年まで認める制度に関する政令案を了承。施行日を定めた政令は閣議決定を経て来月8日に施行予定です。
東京電力福島第1原発事故の原因究明が終わっていない中、審議過程で専門家から出された疑問や、多くの国民から寄せられた意見を全く無視し、拙速に決められた新基準は、原発の危険から国民の安全を保障するものとは程遠い内容です。
当初7月18日までに予定していた施行を早めるなど、原発輸出と再稼働に前のめりの安倍政権が掲げる「原発の活用」方針に沿って、再稼働ありきの基準となっています。
新規制基準では、炉心溶融を伴うような重大事故への対策を義務付けていますが、福島第1原発事故の教訓を踏まえた中身になっていません。
津波対策では新たに原発ごとに最も影響を及ぼす津波として「基準津波」を設定し、原発敷地内に浸水させない対策を求めています。
地震対策では、原発の真下に活断層の「露頭」(地表に露出した断層)がない地盤に設置するとしました。しかし、真下に活断層が走っていても「露頭」がなければ設置できることになります。
原発の運転期間を原則40年とし、1回の認可で最長20年まで延長を認める制度が導入されます。規制委は、延長の認可に「特別点検」を実施し、原発の現状を把握するよう求めています。
新基準で求める対策のうち、原発を操作する中央制御室が使えなくなった場合に備える「第2制御室」などの設置については5年の猶予が設けられました。
事故の際に格納容器で高まった圧力を、放射性物質を低減した上で外部に逃がす「フィルター付きベント」設備も、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉は早期の整備を求めていますが、加圧水型軽水炉は5年間の猶予が設けられました。
新基準が施行されれば、複数の電力会社がただちに審査を申請すると表明しています。最も多い場合、関西電力高浜原発(福井県高浜町)など7原発の14基について、早ければ7月中の申請が予想されています。世論の前に再稼働できなかった、安倍政権と電力各社は、新基準をテコに再稼働をいっせいに進めようとしています。