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2013年6月18日(火)

復興と核兵器廃絶を願って

被災地・岩手沿岸部 平和行進同行ルポ

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 原水爆禁止国民平和大行進(北海道―東京コース)には、東日本大震災で被災した東北沿岸部を進む「被災地連帯行進」があります。15、16の両日、岩手県の大船渡市、陸前高田市、一関市、宮城県栗原市の行進に同行しました。核兵器廃絶とともに、震災復興、原発ゼロの願いを被爆地・広島、長崎へとつなぎたいという参加者の力強い思いがあふれていました。(秋山豊)


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(写真)核兵器廃絶と震災復興、原発ゼロの願いを広島、長崎に届けようと行進する人たち=15日、岩手県大船渡市

3年ぶり復活

 陸前高田市は、震災発生以来3年ぶりの平和行進復活です。津波で流された家の跡にさら地が広がっていました。参加者は、誇らしげな表情で仮設店舗が並ぶ街を行進。復旧工事で行き交うダンプの運転手らに手を振ってアピールします。

 復興への思いをかみしめるように行進していた八幡諗子(つぐこ)さん(66)は、震災前年の2010年の国民平和行進を思い出していました。記憶によみがえったのは一緒に核兵器廃絶を訴えた仲間たちの顔でした。まさか多くの仲間が津波で命を落とすとは思いもしませんでした。

 八幡さんの声が震えました。「私たちが大切にしてきた多くのものが津波に奪われました。でも、平和行進を再開できて、運動をひとつ取り戻せた気がします」

 津波で姉やおい、めい、身内の多くを亡くした津田照子さん(60)は、「もとの生活を取り戻すことが被災者の願いです」と話します。

 自宅も流され、県の雇用促進住宅(みなし仮設住宅)で避難生活を送っています。

 「自宅を再建するにしても消費税の負担があまりに大きいです。高齢者からは、仮設住宅で生涯を閉じたくないと悲痛な声が上がっています。復興は進んでいません。被災地の現実を直視して復興のスピードを上げてほしい」

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(写真)原水爆禁止世界大会に参加する橋さん。「核兵器廃絶と復興の願いを広島、長崎に届けたい」=16日、宮城県栗原市

重なった光景

 被災地連帯行進の出発点・大船渡市の盛駅前では、「被災地を忘れないで」と書いた横断幕を掲げて元気よく行進が出発しました。

 「津波で破壊された街を目の当たりにし、原爆が投下されて廃虚となった広島、長崎の光景と重なった」と話すのは車いすで参加した気仙地区原水協の田村長平会長です。復興と平和を求める気持ちを出発集会で、こう呼びかけました。「震災の年は道路すらなくて行進できなかったが、それでも核兵器廃絶を願ってたゆまず歩き続けてきた。原水爆禁止世界大会が開かれる広島、長崎に平和の心をとどけよう」

 2歳と生まれたばかりの孫がいる鈴木きよ子さん(60)は、「安倍首相の心は被災者に向いていない」と憤りを口にしながら行進していました。子どもたちへの影響が不安で、家庭菜園で育てた野菜の放射線量を必ず測っています。「原発を再稼働し、輸出までするなんて被害者をまだ増やそうというのか」

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(写真)千葉由佳さん(中央)は、家族で平和行進に参加。「子どもが安心して暮らせる社会にしたい」と話しました=16日、岩手県一関市

次々と激励が

 被災地連帯コースから幹線コースに合流した内陸部の一関市では、家や車の窓、畑から市民が次々に手を振って平和行進を激励してくれました。身内に被爆者がいると話す女性は、自宅の庭先から静かに応援していました。

 自転車店を営む遠畑守男さん(77)が、店先に出てきて平和行進者に「がんばれ」と大きな声をかけました。「戦争は二度と起こしたくない。街中を歩いて、ひとりでも多くの人に訴えてほしい」

 原水爆禁止世界大会に岩手代表として、初めて参加する橋基(もとい)さん(50)は、市民に手を振り激励にこたえました。「震災復興へのみんなの思いはつよい。核兵器廃絶の署名とともに、平和を願う彼らの思いを持って被爆地に行きたい」

 10カ月の娘と3歳の息子と参加した千葉由佳さん(31)は、「憲法を変えて、この子たちが戦争に連れて行かれることは絶対にあってはならない。子どもたちが安心して暮らせる社会をつくりたい」と語りました。

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