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2013年6月18日(火)

主張

安倍氏の原発活用

大事故も国民世論も忘れたか

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 安倍晋三政権が売り物にする「成長戦略」で「原子力発電の活用」を打ち出し、停止中の原発の再稼働や原発の輸出を推進しています。その折も折、安倍政権が先週閣議決定して発表した「エネルギー白書」で、民主党政権時の「2030年代原発稼働ゼロ」の方針にはふれず、とくにその前提になった国民の圧倒的多数が「原発ゼロ」を支持していた事実はいっさい無視していることが明らかになりました。安倍政権は、いまだ収束のめどさえ立たない東京電力福島第1原発の大事故も、原発からの撤退を求めた国民の世論もまったく眼中にないのか。

世論をないがしろに

 原子炉の破壊で大量の放射性物質が拡散した東電福島事故では、いまだに事故のくわしい経過も、破壊された原子炉のなかがどうなっているかもわからず、15万人以上の福島県民がなお避難生活を送らなければならない深刻な状態です。そうしたなかで「原発の活用」をいいだした安倍政権の態度が、なによりも被災者の心を逆なでしていることは明らかです。

 民主党政権最後の野田佳彦政権が昨年「エネルギー・環境戦略」で持ち出した「2030年代原発稼働ゼロ」の目標は、原発から直ちに撤退するよう求めた国民世論に照らせば、まったく不十分なものです。しかし、事故が起きるまで原発の新増設や輸出を推進していた民主党政権がその見直しに乗り出さざるをえなかったのも、いったん起きれば取り返しのつかない被害をもたらす、原発事故の悲惨さに直面したためです。

 事故を受け、原発からの撤退を求めた国民世論は明らかです。民主党政権は「エネルギー・環境戦略」策定のさい、原発依存度について「ゼロ」「15%」「20〜25%」の三つを示し、「国民的議論」と称して意見聴取会や世論調査をおこないました。意見聴取会では7〜9割が「ゼロ」を支持し、討論型世論調査では討論を終えたあとで「ゼロ」支持が上昇し5割近くに達しました。野田政権の報告書も「少なくとも過半の国民は、原発に依存しない社会にしたいという方向性を共有している」と明記せざるをえなかったのです。

 こうした国民の世論は、自公政権が復活したからとはいえ、突然消えてしまうものではありません。安倍政権の「エネルギー白書」が「原発ゼロ」の政策にふれず、世論調査の結果をまったく無視しているのは、まさに国民の世論をないがしろにするものです。一方で「白書」は、安倍政権がエネルギー政策を「ゼロベース」から見直し、産業競争力会議で「原発の活用」を検討していることを詳述しています。安倍政権が原発事故の被害も国民世論も無視して、原発推進の政策へ暴走していることは明らかです。

暴走は支持されない

 マスメディアの調査では最近も、経済成長のために原発を活用することに「反対」が59%(「朝日」11日付)、原発輸出を「支持しない」が58%(時事通信15日配信)など、「原発の活用」に反対する国民の世論が鮮明です。安倍政権の暴走は国民世論に逆行しています。

 安倍政権は停止中の原発の再稼働を急ぐとともに、首相自ら外国に出かけ原発セールスに懸命です。国民世論を無視する暴走には、国民のきびしい審判が不可欠です。


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