2013年6月16日(日)
きょうの潮流
出勤の途中に近くのアジサイの名所に寄りました。白、青、紫、紅。それぞれの色彩をはじめ、その中間に横たわる色合いの、わずかな変化や濃淡が目に飛び込んできます▼カメラや携帯電話で写真を撮りながら、一本一本、ゆっくりと愛(め)でていく人も多い。いっときでも都会の喧騒(けんそう)やあわただしい時間を忘れ、自然がおりなす美にふれる喜び。それは心の余裕にも、新たな活力にもつながる気がします▼アジサイは花の色がよく変わることから「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」とも呼ばれます。花言葉のなかにも「移り気」「浮気」「変節」といった語句がふくまれています。でも刻々と移り変わっていく色相を見るのは、なんとも楽しい▼花の色とはちがって、いただけない変化や移り気もあります。今度の東京都議会議員選挙。前回と別の党から出た候補者が10人近くもいます。その多くが、民主党から維新の会へのくら替えです。変節したのは自分ではなく、党の方だといって▼目先の色を変えたと思ったら、今度はすがった党が窮地に。橋下代表が歴史に残る暴言をはき、国内外から批判の嵐が吹き荒れます。「泥舟から逃げ出して沈没船に乗った」とやゆされる始末では、当人も歯がゆいか▼議員バッジをもとめて、党を渡り歩く移り気な政治家ほど、みにくいものはないでしょう。もっとも、「オール与党」都政ではどこに属しても一緒か。それに対し、都民のくらしと命を守ることを第一にすえた“ぶれない”党の存在は梅雨空にも鮮やかです。