2013年6月9日(日)
雇用は絶対優先課題
構造改革に不信
ILO事務局長
【パリ=浅田信幸】国際労働機関(ILO)のライダー事務局長はILO総会(5〜20日)の開会に合わせ、雇用問題を各国政府の「絶対的優先課題」とすべきだと述べました。同時に、いくつかの国で雇用改善につながるとして実行されている構造改革について「説得力ある結果」が出ていないと不信を表明しました。仏紙ルモンド6日付のインタビューで語りました。
ライダー氏は、主要20カ国・地域(G20)が雇用問題を重視して作業グループを立ち上げていることについて「言葉に行為が伴っていない」と指摘。「失われた世代(職がなく、生活の基盤を確立できない青年たちの世代)ということが語られており、いまや行動に移るときだ」と強調しました。
緊縮と景気後退の問題では、「市場はカネ余りで、株が上昇しているのに、資金を必要とする企業にはそれが手に入らない」と述べ、金融システムが企業を助ける役割をまったく果たしていないと批判しました。
労働市場の柔軟化や雇用安定化などと称する構造改革についてライダー氏は、「ギリシャ、スペイン、ポルトガルで相次いで改革が実行されたが、これまでのところ雇用の面では説得力のある結果が見えない」と語りました。
ライダー氏は、国際労働組合総連合(ITUC)の2006年結成時からの書記長を務め、昨年10月、初の労働界出身のILO事務局長に就任しました。