2013年6月5日(水)
橋下市長「慰安婦」発言問題
吉見中央大教授が公開質問状
わい曲引用に撤回・謝罪求める
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日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長の日本軍「慰安婦」問題に対する認識をただすために歴史学者の吉見義明中央大学教授が4日、同市役所を訪れ、市側に市長あての公開質問状を提出しました。7月5日までの回答を求めています。
吉見氏は、橋下氏が昨年8月24日の囲み取材で自らの立場を正当化する根拠として吉見氏の発言をわい曲して引用したことについて改めて撤回と謝罪を要求。その上で、問題の根底には橋下氏の「慰安婦」問題に対する認識があると質問状を提出しました。
この中で吉見氏は、1990年代以降の日本国内での「慰安婦」裁判や東京裁判の判決でも日本軍が女性に性の相手を強制した事実が認定されていることを示し、「知っているのか」と質問。日本軍「慰安婦」制度は外出、居住、廃業、拒否の自由がない「性奴隷制」であり、制度を設置・運用した国の責任が問われていると、根拠となる公文書なども付けて、市長の認識をただしています。
吉見氏が開いた会見には、16人の代理人弁護士のうち5人が同席しました。
大森典子弁護士は「『慰安婦』問題では、軍が女性を強制的に連行したケースも、業者を使った例もあるが、国際社会が問題にしているのは、日本が国家・軍の意思として慰安所の制度をつくり、そこで女性たちが奴隷的状態に置かれたということだ」と指摘。橋下氏が「国家の意思として女性を拉致、人身売買したか」が核心であるかのように語っていることについて「問題をずらしている」と批判しました。