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2013年6月4日(火)

原発「新規制基準」

再稼働先にありきの暴走

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 安倍政権は福島原発事故を収束できないまま原発を再稼働させようとしています。7月18日までに原子力規制委員会が施行予定の「新規制基準」に照らしてゴーサインを出しますが、再稼働先にありきで「安全」不在の暴走です。(林信誠、藤川良太)


大事故発生前提

 新規制基準は、大事故の発生を前提にして規制を設けます。

 原子炉からの放射性物質放出量の“安全目標”には、福島原発事故で放出されたセシウム137の推定放出量の100分の1に当たる100テラベクレルを使おうとしています。しかし、いったん大事故が起きれば原子炉は制御不能となり、目標以下に抑えられる保証もありません。

 「フィルター付きベント」で原子炉からの放出を「抑える」としていますが、放射性希ガスは除去できず、大気に大量に拡散されます。「住民に放射線被ばくを与える恐れは一切ないのか」と、日本共産党の笠井亮衆院議員は5月28日の原子力問題調査特別委員会で追及。田中俊一原子力規制委員長は「事故は一定程度起こりうる」「過度な被ばくを受ければ、それなりの影響が出る」と認めました。

規制に“抜け穴”

 地震や津波によるダメージ対策について、各原発の具体的な数値制限は新基準に示されず、電力会社の裁量で甘い想定にできます。

 また、原子炉建屋直下などで相次いで指摘されている活断層についても、地表に「ずれ」が現れていなければ稼働を認める“抜け穴”まで設けられています。列島全体がプレート境界付近に位置し、活断層だらけの日本の実態を一顧だにしていないのが規制基準の実態です。

 当初は「安全基準」と呼ぶはずが、“絶対的安全はない”との批判の前に「規制基準」の表現に後退。すでに破綻している新基準です。

防災未策定3割

表

表

 原子力規制委員会は規制基準と「地域防災計画」は「車の両輪」だとしています。原発立地・隣接自治体に同計画の策定を義務づけていますが、約27%の自治体が未策定(4月末現在)であることが、笠井氏に対する原子力規制庁の答弁(5月28日)で明らかになりました。自家用車での避難による渋滞やバスや船の確保、いったん原発方向に向かわなければ避難できない地域の存在など、問題山積だからです。

政権と電力会社

 「政府一丸となって対応し、できる限り早く実現したい」。5月15日の参院予算委員会で安倍晋三首相は原発推進の胸中を隠しませんでした。「新規制基準への適合性が確認された段階で、立地自治体等の理解と協力を得るために最大限取り組む」との決意です。

 想定スケジュールは(1)規制委が新規制基準作成(2)各電力会社が再稼働申請(3)規制委による新基準への適合判断(4)立地自治体からの理解(5)再稼働実現―。原子力規制委員会設置法で7月18日までに規制基準施行となっています。

 電力各社は新基準施行に合わせかけ込みで申請する構え。規制委の面談記録などによると、施行直後の再稼働申請は4電力会社10基(別表)の見通しです。瓜生道明九電社長は「施行と同時に、速やかに申請したい」(5月30日の記者会見)と述べています。

トップセールス

 自民党の参院選公約の基になる総合政策集原案は、政府の責任による原発再稼働を明記。原発再稼働の可否について「全ての原発で3年以内の結論を目指す」としました。“原発稼働の日本を取り戻す”公約です。

 安倍首相は、国内では“安全抜き”の新基準による再稼働を目指し、海外では「世界一安全な原発技術を提供できる」と輸出先開拓の“トップセールスマン”として各国を歴訪。核不拡散条約(NPT)未加盟の核保有国であるインドにまで売り込みます。

 これに対し原発ゼロを求める大行動となった2日のノーニュークスデイ。東京・明治公園での集会で日本共産党の志位和夫委員長は「再稼働、原発輸出、原発固執を許さず、即時原発ゼロの政治決断をせよ。再生可能エネルギーへの大転換をおこなえ。この声をご一緒にあげていこう」と呼びかけました。原発ゼロを願う世論や行動と連帯する党として日本共産党は、再稼働実現を目指す安倍自公政権と対決しています。


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