2013年6月2日(日)
株・金利… アベノミクス制御不能
「暗黒面見えた」 海外投機が仕掛け
株価の暴落と乱高下、長期金利の上昇、円安による輸入物価の高騰と安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が経済を混乱させていることが目に見えて明らかになってきました。
日経平均株価は5月23日に前日比1143円安と暴落し、27日は469円、30日は737円下落しました。
「(5月23日は)アベノミクスの『暗黒面』が垣間見えた瞬間ではなかったでしょうか」。双日総合研究所の吉崎達彦副所長が、自身のコラム(「溜池通信」、同研究所のホームページ)で指摘しました。
「つい数日前まで安倍政権の経済政策『アベノミクス』は、日本列島をちょっとしたバブル気分に浸らせていた。株大暴落は、そこに冷や水を浴びせた」(「朝日」5月26日付)との論評も出ています。
長期金利の上昇については、毎日新聞社の経済誌『エコノミスト』(6月4日号)は「『異次元緩和』は、早くもマーケットの逆襲に遭っている」と書きました。
「暴落当然」
安倍首相は、株価の乱高下について「日々の金融的な現象」とし、「リスクを恐れず、果敢に行動」(5月30日)と開き直っています。しかし、市場関係者は「企業業績の裏打ちがない中、期待だけで株価が上がっていた。暴落は当然」と言います。実体経済の回復がないのに、この間、株価をつり上げてきたのはもっぱら海外の投機筋でしたが、暴落をもたらしたのも外資でした。
東京証券取引所が毎週まとめている投資部門別株式売買動向では、日銀が「異次元の金融緩和」を発表した翌週の4月第2週(8〜12日)、海外投資家が買った株と売った株の差額は1兆5865億円の買い越し(買った株の金額が売った株の金額を上回る状態)。過去最高の買い越しでした。株価が暴落した5月23日を含む5月第4週(20〜24日)はそれまでの買い越しから一転して44億円の売り越しでした。
輸入価高騰
一方、「アベノミクス」で加速した円安は、すでに原油や資材価格の上昇で農漁民や中小業者に多大な被害をもたらしています。輸入小麦など食料品の価格も上がっています。長期金利の上昇によって大手銀行は住宅ローンの金利を5月、6月の2カ月連続で引き上げました。
「アベノミクス」は投機とバブルをあおることで市場を混乱に陥れ、経済の健全な発展を妨げています。
景気を冷え込ます消費税増税計画をストップし、賃上げと安定した雇用の拡大で国民の所得を増やし、中小企業の仕事を増やす政策に転換することが必要です。
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