2013年5月27日(月)
ポルトガル 反緊縮 数万人デモ
高失業率・年金改悪に怒り
【パリ=浅田信幸】ポルトガルの首都リスボンで25日、緊縮反対・内閣総辞職を求める数万人規模のデモと集会が行われました。労働総同盟(CGTP)が呼びかけたもので、現地からの報道によると数十台の貸し切り大型バスを使って地方からも多くの労働者が参加しました。
法人税率3分の1に減
参加者は「政府は泥棒だ」「搾取と貧困化に反対」「政府は去れ」などコエリョ政権の下で進められている緊縮政策への怒りを示すプラカードを持って大統領宮殿に近い広場に集結。集会で演説したカルロスCGTP書記長は「緊縮政策は労働者の搾取を強め、貧困を増大させ、国を深刻な経済不況に陥れた」と政府の政策を強く非難しました。
債務危機に陥ったポルトガル政府は、2011年に欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から780億ユーロ(約10兆円)の支援融資を受け、財政再建のため緊縮措置の実施を約束。これにより経済は深刻な不況に陥り、失業率は記録的な17%台に達しています。
国民の怒りと不満をさらに強めているのは、今月初めに発表された新たな緊縮策です。年金受給開始年齢の65歳から66歳への引き上げ、公務員の3万人削減、週35時間労働の40時間への延長などの措置を含みます。
その一方で政府は23日、経済活性化のためと称して、現行25%の法人税を一気に7・5%にまで引き下げる方針を発表しています。
カルロス書記長は演説で「この政権を打倒するために持てるすべての力を注ぐ」と強調、30日に改めて最大規模の抗議行動を行うことを明らかにしました。25日に公表された世論調査によると、国会解散・総選挙の実施を求める国民は57%に達しています。