2013年5月25日(土)
共通番号制は廃止に
プライバシー侵す ネット犯罪も
市民団体が危険性指摘
日本で暮らすすべての人に番号をつけ、個人情報を国が一元的に収集、利用する「共通番号制(マイナンバー)」法が24日の参院本会議で可決、成立したことを受け、法案に反対する市民団体が同日、国会内で記者会見し、「プライバシー侵害につながるマイナンバー制度は廃止すべきだ」と指摘しました。
「PIJ(プライバシー・インターナショナル・ジャパン)」代表の石村耕治白鴎大学教授は、共通番号制によってアメリカではなりすまし犯罪が横行し、イギリスでは同制度を廃止したと指摘。「ネット犯罪の危険が強いもとで一つの公開された番号を生涯使うというのは時代錯誤」と訴えました。
「監視社会を拒否する会」共同代表の田島泰彦上智大学教授は、共通番号制は住民基本台帳システムと比べてもプライバシー侵害の危険が格段に強いと強調。「市民の個人情報をお上の好き勝手にゆだねていいのかが問われる」とのべました。
「やぶれっ! 住基ネット市民行動」の井上和彦氏は、「共通番号制の利便性がどこにあるのか政府からまともな答弁はなく、法案は多くの問題が残ったまま可決されてしまった」とのべました。
解説
実施許さないたたかいを
マイナンバー制度は成立したものの、ぼろぼろになってやっと通したにすぎません。
審議のなかでは、国民にさしたるメリットもない一方で、行政は全国民の個人情報を一元的に把握することができ、社会保障の締め付けと税・保険料の徴収強化に使えることが浮き彫りとなりました。
この制度はもともと消費税増税と社会保障改悪を進めるために打ちだされたものであり、国民との矛盾は避けられません。
しかも、個人情報やプライバシーの保護については実効性ある対策が何もない欠陥法案であり、施行3年後をめどに民間拡大も狙われています。情報漏えいや犯罪が際限なく広がる危険性を抱えており、この点でも深刻な矛盾を引き起こさざるをえません。
同じ制度を導入した米国や韓国では情報漏えいや「なりすまし」犯罪が多発し、見直しを迫られています。これから具体化が進めば進むほど問題点や矛盾は広がらざるをえず、実施を許さないたたかいはこれからです。 (深山直人)