2013年5月24日(金)
2型糖尿病(20〜40歳) 高度肥満74%・合併症進行
背景に貧困の可能性
初の全国調査 全日本民医連
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全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は22日、20〜40歳の2型糖尿病患者についての全国実態調査の結果を公表しました。4人に3人が著明な肥満を伴い、網膜症、腎症の合併症が高率で進行しているなど、「従来と異なる病状の大きな変化が起きていて危ぐされる状況だ」と警鐘を鳴らしました。
調査は昨年6〜7月に実施。96病院・診療所に受診している患者782人にアンケートなどを行い、雇用形態や労働時間、収入など社会・経済的な面についても聞きました。
調査班の責任者、莇(あざみ)也寸志医師(石川・城北病院副院長)は「従来、生活習慣などが要因の2型糖尿病は多くが40歳以降に発症するとされてきたが、診療の現場では若くして肥満で、重症の合併症を伴っている症例が目立つことから、日本初の調査にとりくんだ」と話します。
調査結果から、20歳でBMI(体格指数=体重キロ÷身長メートル÷身長メートル)が平均27〜28と肥満状態で、その後さらに体重が増加し、糖尿病を発症するというパターンが分かりました。
BMIが最大時に30以上の高度肥満になった人は男女とも74%に達します。
合併症の網膜症がある人は23%、将来血液透析に移行する危険性の高い腎症が16%、腎不全も15人いました。
患者の社会的な背景として「低学歴(中卒が15%など)、非正規労働者、無職が多く、発症や病状の進行に低学歴、低収入が影響している可能性がある」と指摘しています。
2011年度国民栄養調査(20〜39歳)からBMI30以上は約160万人、糖尿病患者約40万人と推定されます。一方で、30〜39歳の通院継続患者は22%にすぎません。
莇医師は、「若年者2型糖尿病の予防、早期診断、治療継続に関して社会的・経済的要因を考慮した対策が必要だ」と話します。
調査に参加した福田洋・順天堂大学医学部総合診療科准教授(予防医学)も、ヘルスリテラシー(健康情報を上手に利用できる能力)によって肥満や糖尿病のコントロールが左右される可能性を指摘。「健康格差の解消へ向け、今までと違うとりくみが必要だ」と語りました。
調査班は6、7月に再度調査し、解析を進めて最終的な調査結果をまとめる予定です。