2013年5月22日(水)
きょうの潮流
日本の新鋭、22歳の松平健太選手が健闘した世界卓球。北京五輪の金メダリストや欧州の第一人者を連破し、8強入り。敗れた準々決勝も世界1位の中国選手を苦しめました▼相手の強打を利用するブロックや独特のサーブ。中国選手にも臆せず攻めつづける姿勢がいい。本人も「気持ちはしっかりしていた。あとは技術と戦術」。日本男子は世界レベルの若手が刺激しあい、それが相乗効果を生んでいます▼混合ダブルスでは北朝鮮が世界卓球で36年ぶりの優勝。韓国ペアを破った決勝の模様は国内で大々的に伝えられているそうです。韓国の関係者も「兄弟である北朝鮮の金メダルに、おめでとうと言わせてください」と祝福しています▼いまは南北に分かれていますが、世界卓球では貴重な経験がありました。千葉で開催された1991年の大会で、統一チーム「コリア」が結成されたのです。とまどいながらも、同じ民族としてきずなを深めあう両者。その様子は上映中の映画「ハナ 奇跡の46日間」にくわしい▼ハイライトは女子団体決勝。3時間半をこえる大接戦の末、中国の9連覇を阻む快挙を成し遂げました。南北が喜びを分かち合った歴史的な勝利に、会場では「マンセイ(万歳)」の歓声がやまなかったそうです▼朝鮮半島を青く染めた旗のもとに結束した「コリア」は、その後の統一チームを促進しました。スポーツを通した対話と交流、そして結びついた友情は、いまも分断された両国民の心にきっと息づいているはずです。