2013年5月20日(月)
「子ども目線で指導」
体罰シンポ開き討論
前橋
群馬県前橋市で18日、体罰を考えるシンポジウムが開かれました。ぐんま教育文化フォーラムと群馬子どもの権利委員会が主催し、教育関係者や学生ら約60人が参加しました。
4人のパネリストが問題提起し、教育現場での体罰の実態や、なくしていくために必要なことなどを参加者も交えて討論しました。
立正大学社会福祉学部教授の山西哲郎さん(日本体育学会会長)は、部活動が結果を追う勝利優先主義に陥っていることや、指導者が専門的な理論と実践を学べない状況にあることを指摘し「スポーツの原点は“気晴らし”と“遊び”。スポーツを“自分流に楽しむ”視点に変えていくことが大事だ」と語りました。
県立中央中等教育学校教員の松本稔さんは、部活動を学校や指導者の評価の手段にするのではなく、子どもの視点に立った指導が必要だと述べました。
元高校教員の須田章七郎さんは、人事評価制度の下で教職員が数値目標に縛られ、大学進学率や部活動での成績を競わされている実態があると指摘し「県教委は、生徒と教職員、保護者が一体となった学校づくりができる環境をつくってほしい」と訴えました。
子どものころから関わっているキャンプやサークル活動での経験を語った大学生は「子どもは対話や言葉で成長できる。体罰をなくすために若い人たちが考え合う機会をつくっていきたい」と述べました。
県教育委員会学校人事課の担当者が、体罰の実態調査について報告しました。
会場からの発言では「指導者が子どもの目線で対話することが、体罰をなくす出発点になるのでは」という意見や、「体罰で効果があがっていると考える現場の教職員も多く、自分の考え方が間違えているのではと感じてしまう場面もある」という声も出されました。