2013年5月17日(金)
論戦ハイライト 参院予算委
井上議員が厳しく批判
「世界で生きる立場失う」
「人間の尊厳をおとしめる暴言だ。許せない」―。15日の参院予算委員会で、日本軍「慰安婦」は「必要だった」とする維新・橋下徹共同代表の暴言を批判した井上哲士議員。質疑を通じて安倍晋三首相の立場も橋下氏と変わらないことが浮き彫りとなりました。
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橋下暴言
首相 「論評する立場にない」
井上 橋下氏の発言について、総理の考えは。
首相 他党の代表の発言で論評する立場にない。
井上 重要な政治問題だ。「慰安婦」は必要という見解は同じなのか違うのか。
「慰安婦」の苦しみに「心から同情し、胸が痛む」と述べながら「慰安婦は必要だった」という暴言を否定もしない首相―。
井上氏は、閣僚の「タイミングが非常に悪い」(下村博文文科相)、「従軍慰安婦は、当時は必要性を感じていたからこそあった」(谷垣禎一法相)という発言を示して、「橋下氏の発言は“タイミングは悪いが、中身は問題ない”というのが安倍内閣の立場か」と重ねてただしました。首相は「立場が違う」と繰り返すだけでした。
国内外のメディアは橋下氏の暴言を「戦争を美化する一連の日本人政治家の発言に続くもの」「強制連行認めず 安倍首相の認識踏襲」と報じています。
井上 (橋下発言は)総理の言動と連動・一体だと世界は見ている。「間違いだ」とはっきり述べよ。
首相 橋下代表の発言と立場が異なる。
井上 「間違いだ」となぜいえない。
首相 他党の代表の発言で、立場が違う。
植民地支配と侵略
首相 「歴史家が決めるもの」
なぜ首相は批判もできないのか。「植民地支配と侵略」を認めて謝罪した“村山”談話(1995年)について、首相は「アジアの国々に対して多大の損害を与えたことについて歴代内閣の立場の全体を引き継ぐ」と述べるだけで、「植民地支配と侵略をおこなった」という核心部分についてはかたくなに口を閉ざしました。
井上 「全体を引き継ぐ」というが、「植民地支配と侵略」という言葉を含めて受け継ぐのか。
首相 侵略や植民地支配を否定したことはない。歴史認識については歴史家が決めるものだ。
日本の行為が「植民地支配と侵略」だったと決して肯定しない首相に対し井上氏は、侵略戦争を「自存自衛」「アジア解放の戦争」と描き出す靖国神社への閣僚参拝を取り上げました。同神社の博物館「遊就館」で開催中の「大東亜戦争70年展」では、「アジアの解放と共存共栄の新秩序を確立するという先人達の事跡を拝観していただく」と明記しています。
井上 靖国神社は侵略戦争を「アジア解放の戦争」と美化する特殊な施設だ。(参拝は)侵略戦争肯定に身を置くことになる。
首相 コメントしない。歴史は歴史家に任せるべきだ。
歴史認識は学者が決めると逃げ侵略を認めない首相。「村山」談話とは異なる首相の立場が明らかになりました。井上氏は、「従軍『慰安婦』の肯定と侵略戦争の否定は一体だ。戦後の国際政治は侵略戦争を否定することで成り立っている。それを否定すれば、日本が世界で生きていく足場を失う」と厳しく指摘しました。