2013年5月17日(金)
「人権保障こそ本質」
笠井議員 衆院憲法審で強調
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衆院憲法審査会は16日、憲法10章「最高法規」と「前文」などについて検証しました。日本共産党の笠井亮議員は、基本的人権の永久不可侵性を宣言した憲法97条について「最高法規としての憲法の本質が人権保障にあることを明確に示すものだ」と指摘。憲法を最高法規と定めた98条、憲法尊重擁護義務を定めた99条などとあわせて「ときの権力によって憲法がゆがめられないようにしている」と述べました。
一方、自民党の保岡興治氏は、97条を削除し、99条の憲法尊重擁護義務の対象に国民を加えるよう主張。笠井氏は「97条の削除は、憲法の最高法規性の根拠がどこにあるかを理解しないもので、憲法を憲法でなくしてしまうものだ」と批判。民主、公明、生活の各党も97条維持を主張しました。また、笠井氏は「憲法尊重擁護義務の対象に国民が含まれないのは、主権者国民が憲法によって国家権力を縛るという近代立憲主義の考えから当然だ」とのべました。
さらに、安倍晋三首相を筆頭に閣僚が改憲議連に名を連ね、改憲論をあおっていることについて、笠井氏は「時の権力者自らが改憲を主導するのは重大な問題だ」と指摘。自民党の土屋正忠氏が「総理が政治家として意見を開陳するのは当然」と主張したのに対し、笠井氏は「首相は憲法尊重擁護義務を負い続けており『一議員として』などという使い分けは通用しない」と反論しました。民主、生活の各党も同調しました。
憲法前文について笠井氏は「憲法が、日本が起こした侵略戦争の反省の上に制定されたことを明確に述べたことに重要な意義がある」と述べ、安倍首相が「村山談話」の見直しに言及し、「侵略の定義は定まっていない」などと時代逆行の動きを強めていることは看過できないと批判しました。
自民党の西川京子氏は「侵略戦争と決め付けられたのは東京裁判においてのみ。そのもとで憲法を規定するのは間違い」などと主張しました。
笠井氏はポツダム宣言や国連憲章などを引き、「日本の過去の戦争が侵略戦争であることは国際的に確定している」と指摘。自民党の前文全面改定について、「日本の戦後の出発点を自ら否定するだけでなく、アジアや世界のなかで日本の孤立を招き、国際社会で生きていく道を失うことになりかねない」と批判しました。