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2013年5月15日(水)

忍び寄る自衛隊(下)

ニュース・報道でも安易な美化

政府と防衛省の広報の場に

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 NHK、民放とも自衛隊を取り上げる番組がふえています(別項)。NHKテレビの「ニュース7」やTBSの「報道特集」までもが加わり、政府や自衛隊の発表をそのまま流す宣伝番組のオンパレードとなっている状態です。

宣伝費2億円?

 防衛省、自衛隊にとっては格好の宣伝の機会を得たといえます。TBSのドラマ「空飛ぶ広報室」には、自衛隊員が宣伝効果を歓迎する場面が出てきます。宣伝費にしたら、テレビに映してもらえれば、3分間でも「2億円」というセリフがありました。この数字はまったくの作り事ではないでしょう。

 テレビ局にとっても、防衛省・自衛隊の基地でロケをして、隊員に出演してもらえば、制作費をまるごと軽減できます。

 本紙読者からも意見が寄せられています。「いずれの番組も自衛隊の格好よさが売りだ。国防軍への布石なのでは、と思っている。はまらないようにと気持ちを強く持ちながらチェックしているこのごろである」(京都市 松尾利夫 64歳)

持ちつ持たれつ

 テレビが自衛隊と持ちつ持たれつの関係になると、ジャーナリズムとしてのテレビの役割が消えてしまいます。防衛省、自衛隊の都合のいいものしか国民に伝えなくなってしまいます。現にフジテレビ「東日本大震災から2年 福島原発に挑んだ男達」、NHK「ドキュメント72時間」は、自衛隊による原発の冷却活動が実際はうまくいかなかったのに、事態の収拾に貢献したかのように描きました。安易な自衛隊美化に走るのではテレビのあり方が問われます。

メディアの認識が問題

『放送レポート』編集長 岩崎貞明さんの話

 自衛隊は伝統的に広報活動に熱心でした。メディアへの露出をねらい、悪く書かれたくないので、記者へのサービスはいい。

 最近、盛んに取り上げられるようになったのは、自衛隊側の売り込みが激しくなったというより、むしろメディアの側の自衛隊に対するハードルが低くなったと考えられます。

 きっかけは東日本大震災ではないでしょうか。自衛隊の災害救助の活動によって人々が命を救われた場面にメディアが遭遇し、自衛隊との心理的距離感が縮まったように思います。自衛隊は戦争に参加し、人殺しをするための集団です。メディアにその認識が消えてしまっています。

 2006年に陸上自衛隊で体罰による死亡事故が起こり、両親が裁判に訴えて、国の損害賠償が認められました。自衛隊員の自殺者は一般公務員の1・5倍に上るという数字も出ています。メディアはそういう問題を持つ自衛隊のことを伝えようとはしません。

 安倍政権のもとで、自民党は改憲を提起しています。憲法9条を変えて、自衛隊を国防軍として位置づけようとしているのです。その動きと自衛隊番組が直接つながっているとは思いませんが、結果論としては、世論を改憲に傾かせて、改憲がやりやすくなる危険性が出てきます。


自衛隊が登場した番組

 NHK「ニュース7〜ありがとうブルーインパルス」(3月25日)ブルーインパルスは航空自衛隊松島基地(宮城県)飛行隊に所属。東日本大震災で被害を受けた松島基地が修復し、移動先の福岡・芦屋基地から松島へ戻ることになった。松島で飛行ショーを開催。

 NHK「ニュース7〜おかえりブルーインパルス」(3月30日)ブルーインパルスが松島基地に帰った模様を伝える。

 フジ「東日本大震災から2年 福島原発に挑んだ男達」(3月9日)2011年福島第1原発の爆発事故を受けて、自衛隊の冷却活動を取り上げる。

 日本テレビ「真相報道バンキシャ!」(4月14日)宮城・松島基地へ帰るブルーインパルスの映像をスタジオの巨大画面で紹介。

 TBS「ニュースキャスター」(4月20日)「特集・中国機へスクランブル急増!日本の空を守れ!航空自衛隊に密着!」と題して放送。

 NHK「ドキュメント72時間〜横須賀基地 お見合い大作戦」(4月26日)自衛隊員150人が集まった婚活パーティーを追う。

 TBS「報道特集」(4月28日)冒頭のニュースのコーナーで、安倍首相がニコニコ超会議の自衛隊のブースを訪れ、戦車に乗った姿を大映しに。


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