2013年5月15日(水)
追い詰められた伊元首相
未成年買春 禁錮6年求刑
新政権に影
【パリ=浅田信幸】イタリアのベルルスコーニ元首相(76)が未成年買春の罪などに問われた裁判の論告求刑公判で、ミラノ検察は13日、元首相に禁錮6年と公職権の永久停止を求刑しました。判決日は6月末の予定ですが、追い詰められたベルルスコーニ氏が判決逃れで策動することも考えられ、2週間前に成立したばかりのレッタ政権を揺るがす恐れも指摘されています。
首相経験者による未成年買春という前代未聞のスキャンダルで有罪判決が出れば、政治生命を絶たれることが確実なベルルスコーニ氏は、「偏見と憎しみにもとづく結論先にありきのねつ造だ」と口を極めて検察を非難しました。
同氏は3月初めに政敵に対する盗聴の罪で、また今月8日には脱税の罪で、それぞれ有罪の判決を受け、控訴・上告の意思を表明していました。
レッタ政権は、中道左派連合とベルルスコーニ氏が率いる中道右派連合の「大連立」。政策的にも違いがある中で、中道右派内には自派の指導者に対する裁判をめぐり司法・検察批判の声が高まっており、閣内統一は綱渡り状態にあります。
追い詰められたベルルスコーニ氏が公判や判決言い渡しを先延ばししようとすれば、最後の手として閣僚の引き揚げ・解散総選挙という道もないわけではありません。
レッタ政権は先週末、閣僚セミナーを開き、内閣の仕事に専念する約束を全閣僚からとりつけましたが、イタリアのメディアは「それも、もって2週間」との声を伝えています。
ベルルスコーニ氏の未成年買春疑惑 ベルルスコーニ氏が首相だった2010年、北部ミラノ郊外にある私邸に当時17歳だったモロッコ出身の少女を買春目的で招き、性的関係を持ったとされる疑惑。この少女が窃盗事件で拘束された際、警察に直接電話して釈放するよう圧力をかけた疑いも持たれています。