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2013年5月15日(水)

主張

橋下氏「慰安婦」発言

公人として人間として落第だ

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 本来なら15日は沖縄の日本復帰から41年にあたり、4月に安倍晋三政権が政府主催の「主権回復」式典を強行したことからも欠かせないテーマですが、きょうはそれに先立って、「日本維新の会」代表でもある橋下徹大阪市長の一連の発言を取り上げなければなりません。アジア・太平洋戦争中の日本軍「慰安婦」問題に関連して、慰安婦制度が「軍隊にとって必要だった」と積極的に弁護し、あまつさえ、性犯罪が絶えない沖縄の米軍にたいし「もっと風俗業の活用を」などと求めたのです。市長など公人としてだけでなく人間として落第だと断罪するものです。

女性を人間扱いしない

 橋下氏はこれまでも日本軍「慰安婦」問題について、「強制連行のような事実はなかった」との発言を重ねて批判を受けてきましたが、軍隊に「慰安婦は必要だった」などと公言するのは、これまでほとんど聞いたことがないようなとんでもない暴言です。橋下氏は、「命をかけてたたかう猛者連中に、どこかで休息をさせてあげよう」などといいますが、戦争遂行のために女性の性を利用するのは当たり前などというのは、女性を性の対象にするだけで人間として扱わないとんでもないものです。

 橋下氏は「日本だけでなくいろんな国で慰安婦制度を活用してきた」といいますが、それこそ他国の例をあげれば自らの責任は免れると考えるさもしい考えです。いわば犯罪をとがめられた人物が、あいつもやっているからと開き直るようなもので、人間の社会で通用するものではありません。

 日本がアジア・太平洋戦争のさなかに、植民地とした朝鮮半島や軍事占領した中国や東南アジアから女性を連行し、日本軍が管理する慰安所で日本兵による強姦(ごうかん)や売春を強制したというのは、「慰安婦」とされた女性たちの数多くの証言が示すように動かしがたい事実です。政府は1993年の河野洋平官房長官の「談話」で政府の責任を認めました。しかし公的な謝罪や賠償は行っていません。

 しかもその後も安倍晋三氏ら自民党内の侵略戦争を肯定する「靖国」派や橋下氏らが「強制連行はなかった」などの発言を重ねてきました。これに対し、韓国や中国はもちろんアメリカやEU(欧州連合)などの政府や議会、国民から抗議の声があとを絶たないことからも、この問題の歴史的、国際的な重大性は明らかです。

 ことは日本の戦争責任と、女性の人権にかかわる問題です。「慰安婦制度が必要だった」などというのは論外ですが、「強制性があったかなかったか」と問題をわい小化するのも日本軍「慰安婦」問題を根本から反省しないからです。いったい「強制」がなければ「慰安婦」制度は許されたのか。強制性の否定から制度そのものの肯定に行き着いた橋下氏の発言は、その本質をあぶり出しています。

「風俗活用」発言も同根

 日本軍「慰安婦」制度の肯定に行き着いた橋下氏が、米軍の性犯罪をとがめるのではなく「風俗業」の活用を勧めたのもまさに同根です。橋下氏には女性の人権を尊重する発想がまったくありません。

 安倍氏や橋下氏のように日本の戦争責任を反省せず人権感覚を欠くのでは、国際的に孤立するだけです。橋下氏の発言の責任を、あいまいにすますことはできません。


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