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2013年5月13日(月)

安倍政権は財界番頭

原発・インフラ売り込み

歴訪に112社200人ゾロゾロ

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 安倍晋三首相を先頭に閣僚らがロシアや東南アジア、中東、南米など世界各地に出かけて、大企業が求める原発や産業、インフラの売り込みをはかっています。連休を利用して売り込みなどに出かけた閣僚は19人中13人(別表)。しかも商社、メーカー、銀行など受注をねらう大企業の幹部を連れだって出かけており、財界・大企業との露骨な癒着ぶりを示しています。


 ロシアをはじめ中東諸国へ出かけた首相の目的は「日本ブランドを積極的にトップセールスするとの観点から、企業関係者を同行した総理の訪問は必要不可欠」(内閣官房文書)とあからさまです。

 首相には、日本経団連を筆頭に、名だたる大企業112社から200人(4月24日集計)が同行するという異例の“集団トップセールス”となりました。

 アラブ首長国連邦では、世界を震撼(しんかん)させた福島原発事故後、初めてとなる原子力協定の締結で合意。福島原発事故の「収束」もできていないのに、首相は「今後、原子力の高い技術を提供していきたい」と述べ、新たな“安全神話”をふりまきました。

 トルコでも原子力協定に調印。首相は「日本は地震に強い、世界で最も高い安全基準を満たす技術で協力したい」と語り、三菱重工業などによる原発受注を後押ししました。

 ロシアではプーチン大統領との首脳会談でシベリア鉄道や石油・ガス開発などで協力を確認すると、三井物産や国際協力銀行など同行した企業関係者らがその場でロシア側と石油化学プラント建設、シベリア鉄道建設、資金援助など九つもの協定・覚書を締結するという例のない光景が繰り広げられました。

 閣僚らが各国に出かけてトップセールスを行うことは、財界が強く求めてきたもの。

 4月に出した提言では「総理をはじめ閣僚の海外訪問に民間企業人が同行し、トップセールスを展開することが有益である」と主張していました。

日本経団連の提起うけ

 茂木敏充経産相は、原発建設や海底油田開発に日本企業を参入させようとブラジル、コロンビアなどを訪問しました。

 経産相は「ブラジルの原発計画に積極的に貢献したい。日本企業は高い関心を持っている」とアピール。日本政府主催で「投資セミナー」まで開き、日本から三菱重工業、日立製作所、東芝などの原発企業30社の幹部がこぞって参加し、原発事故に反省もなく売り込みをはかりました。地元紙では「日本からのもう1人の“原発セールスマン”」と報じられました。

 インドを訪問した麻生太郎副総理もシン首相にインフラ輸出への支援を要請。福島事故後中断している原子力協定交渉を進めていくことを確認しました。

 ペルーでは岸田文雄外相が、14億円の政府開発援助(ODA)事業に署名。日本企業が鉱山開発などに投資していることから外相は「太平洋を挟んだ重要なパートナーだ」と述べ、税制改革など日本企業が参加しやすい環境整備を求めました。

 政府あげてのトップセールスは、日本経団連が2008年「今後の国際協力のあり方」で「官民連携の強化」を提起して以来、強く求めてきました。

 安倍内閣は、財界の海外売り込みを支援するため「経協インフラ戦略会議」を3月に発足。首相は「わが国企業の海外展開を支援し、最先端のインフラシステム輸出を後押しすることは、3本の矢の一つである成長戦略の重要な柱です。閣僚が一体となって具体的な戦略作りに取り組む」と表明しました。

 海外展開の支援は、民主党政権時代にもベトナムへの原発輸出をはじめとして進められてきましたが、自民党が政権復帰すると、より露骨に大規模に展開されています。


同行した経済団体と主な企業

 経団連 国際協力銀行 東芝 三菱電機 川崎重工業 日立製作所 ジェイパワー 伊藤忠商事 三井物産 出光興産 コスモ石油 住友化学 大林組 大成建設 トヨタ自動車 三菱東京UFJ銀行 三井住友銀行 東レ 味の素 大塚製薬 野村総研

表:財界の番頭―安倍内閣「トップセールス」の内容

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