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2013年5月12日(日)

政治考 「“自共対決”の構図は自然」

二大政党制崩壊 第三極飽き飽き

「政策 自民に対峙は共産」メディア関係者

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 「共産、闘志再び/『安倍政権は暴走と破綻』/参院選『自共対決』宣言」―日本共産党の第7回中央委員会総会の翌9日、「朝日」はこんな記事を掲げました。時事通信、「産経」、「日経」(電子版)も、「自共対決」に注目したニュースを伝えました。一般メディアからみても「自共対決」がいまの状況を表していると感じる状況が進んでいます。(政党取材班)


写真

(写真)第7回中央委員会総会。報告する志位和夫委員長=8日、党本部

 「安倍首相を生直撃」。10日のフジテレビ「スーパーニュース」はこう銘打って、約1時間も安倍首相の“独演会”を報じました。メディアの安倍首相持ち上げはとどまるところを知りません。大手メディアの中堅記者は「『戦後レジームからの脱却』を掲げ、歴史問題や憲法問題で物議をかもしていた第1次安倍政権のときと比べてもメディアの反応が非常に弱い」と自嘲気味に語ります。

 国会ではどうか。日本共産党以外の他の主要な政党は「自民党へ、安倍首相へ」と“草木もなびく”状況。消費税大増税と社会保障改悪の「3党合意」に首根っこを抑えられた民主党は「アベノミクスの全体方針は正しい」「心から賛成する」(2月2日参院本会議)と持ち上げる始末。参院選をにらんで批判に転じようとしていますが、足場がありません。日本維新の会、みんなの党の安倍礼賛は目に余るひどさです。

真っ向勝負

 こうしたなかで、安倍政権に真正面から立ち向かう日本共産党の姿が浮き立っているとの声は永田町のなかからも聞こえます。

 最近、民主党を離党した議員の一人はこう語ります。「『政権交代』だけを錦の御旗にし自由党との合併で民主党をつくったが、総選挙での凋(ちょう)落(らく)で二大政党体制も崩壊した。『第三極』に対しても国民は飽きてきていて、政党として残ったのは自民党と共産党ということだ。公明党が自民党にくっついて残っている」

 世論調査での高支持率に“自信”を強める自民党では「自民党対その他の政党という構図だ」とおごる声がある一方、「民主党は国民的に信任を失い、維新の勢いも止まった状況で、政党としての対決という点では共産党との真っ向勝負になる」と述べる議員もいます。「環太平洋連携協定(TPP)や原発、そして憲法の問題では自民党内にも矛盾がはねかえってくる」と警戒しているのです。

第三極失速

 一方、いわゆる「第三極」の幹部はどうか。みんなの議員は「みんなの党のピークは2010年の参院選だった。そのときの得票が800万票で、昨年の総選挙では550万票。維新も勢いを失っている」と述べ、さらにこう語ります。

 「主張が明確な自民と、その対極で主張が明確な共産。あとは国民から見れば何を言っているのかはっきりしない第三極。直ちに共産の得票が増えるかはわからないが、国民から見れば自民党対共産党という構図に見えるのは自然」

 “自共対決”は、各党の立ち位置を見ればいっそう鮮明になります。

 たとえば、民主党。「民主党政権は消費税率引き上げにも正面から取り組んできた」(輿石東参院議員会長)、「自民党は与党になった途端、(3党合意への)消極姿勢が目立っている」(海江田万里代表)などと、消費税増税と社会保障改悪の「3党合意」に固執しています。党内からは依然「与党ボケ」の声も出るなど、政治的に漂流しています。

 参院選に向けて反対姿勢を強めるとしていますが、1面所報のようにアベノミクスに対しては礼賛してきた経緯があります。憲法96条改定には反対の方向で党内の意見集約をはかるとしていますが、96条改定狙う研究会には渡辺周前防衛副大臣や蓮舫元行革担当相など有力議員が参加しています。

既成政党化

 日本維新の会やみんなの党はどうか。維新の石原慎太郎・共同代表は「維新は賞味期限」(7日)、「昨年末の衆院選と比べて今、昇り龍にあるとはいえない」(8日)と危機感もあらわ。橋下徹共同代表も“賞味期限”発言を「そうじゃないですか」と人ごとのように認めました。9日記者会見した維新の片山虎之助副政調会長は「維新の会もできて長い(?)から、(人の)見る目も変わってくることは確かだ」「だんだん大きくなると既成の政党的になってくる」と認めました。

ある記者は

 これに対して、どの問題でも抜本的対案を示して安倍内閣に立ち向かっているのが日本共産党―。この政党状況をメディア関係者はどうみているのかも聴きました。

 7中総を取材したあるメディアの記者は「民主党は凋落(ちょうらく)の中で、相変わらずまとまれず、維新も安倍自民党に擦り寄るなどして存在感を弱めている。その中で、志位委員長が7中総で自民党と対決路線を鮮明に強調したことは正しいと思う」と話します。

 別の記者は「『維新』は国政進出自体があだになり、自民党の補完勢力であること、国民にとって役に立たない勢力であることを自ら示した。『玉石混交』でむしろ石のほうが多いのではないか、ということになってしまった。石原氏のアナクロニズム(時代錯誤)にも首都圏の支持層は引いている」と指摘。民主党が「3党合意」路線でまったく野党性を発揮できない状況もあわせて、「自共対決の構図」に賛同を示しました。

 ある大手メディア関係者は「民主党は、財務省はじめ官僚のコントロールで、消費税増税や原発再稼働などの『歴史的使命』を果たし、自民党化して国民の支持を失った」と指摘したうえで、こう述べました。

 「議員の数は少ないが、政策的に自民党と対峙(たいじ)しているのは共産党だけだ。安倍バブルは必ずはじける。そのときにまた橋下氏らが危険な受け皿とならないよう、奮闘を期待する」


自民への期待は土台のない幻想

 神戸学院大学の上脇博之教授(憲法学)の話

 自民党と安倍政権に対し高支持率が続くのは、一時的な公共工事増額や株価上昇につられて政権与党となった自民党に期待するしかない、というところにまで庶民が追い込まれているからではないか。

 しかし、自民党への期待は土台のない期待であり、幻想に近い期待だ。自民党内にも“庶民はいつか目を覚ますのではないか”という不安がある。昨年の総選挙では、圧勝したが、得票は減らしているからだ。庶民が安倍政権の正体を直視できれば、再び自民党離れが生じる可能性もある。


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