2013年5月11日(土)
円安、暮らし・営業に打撃
4年ぶり101円台急落
10日の東京外国為替市場の円相場は、米国の景気回復への期待などから円売り・ドル買いが加速し、2009年4月7日以来ほぼ4年1カ月ぶりに1ドル=101円台へ急落しました。急激な円安が輸出企業に恩恵を与える一方、輸入物価の上昇による暮らし・営業への悪影響が懸念されています。
解説
輸入物価が上昇 悪影響数々
安倍晋三政権が日本銀行とともに進めている「大胆な金融政策」が円安を加速させています。金融緩和の目的は人為的に物価を引き上げることですが、投機マネーは今後の金融緩和でさらに円安が進行することを先取りして円売りに動いています。輸入物価の上昇で打撃を受けているのが国民の生活です。
燃油の高騰でイカ釣り漁船が休漁、電気・ガス料金の値上げ、輸入小麦価格の引き上げなどすでに数々の悪影響が出ています。
中小企業は資材価格の値上がりに苦しんでいます。中小企業家同友会全国協議会が行った1〜3月期の景況調査では製造業が特に厳しく、マイナス幅が拡大しました。主要な原因となったのが急激な円安による仕入れ単価の上昇です。調査報告は「アベノミクス効果、中小に及ばず、円安先行で採算伸び悩み」とまとめました。その一方、輸出大企業は円安で業績見通しが改善し、株価が上がっています。
所得が増えずに物価だけが上がって苦しめられるのは消費者や中小企業。得をするのは一部の多国籍企業、大資産家、投資家―「アベノミクス」が誰のための政策であるかが明白です。(山田俊英)